ボルダリング上級者は無意識に登る[上手い人、強い人の特徴]

「強い人は、なんであんなにスムーズに登れるんだろう」

「オブザベ短いのに、そんなムーブが思いつくのはなんで?」

「あの人、何も考えてなさそうなのに上手い…」

そう思ったことはありませんか?

それは…

そのクライマーは”無意識有能”な状態だからです。

「無意識有能?なんだそれは!!」と思いますよね。

要するに、上手い人、強い人の特徴として最も大事な部分、「無意識のクライミング」ができているのです。

はい。

かいつまんで説明していきます。

この記事でわかること
  • 「自動化する」とは
  • 上級者はなぜスムーズに登れるのか
  • なぜ苦手を後回しにしてしまうのか
  • 行動するためにはどうしたらいいのか
  • クライマーのスタイルはどう作られるのか

この記事は下記の本を参考にし、僕の経験を顧みながらクライマーに伝わりやすいよう執筆しました。

プロが教えるはじめてのNLP超入門
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目次

「意識」と「無意識」、これが上手い人と強い人の特徴

僕たちクライマーが課題を登る時、「意識」して動く時と「無意識」に動いていることがあります。

「意識」して登っている時は「もっと力を入れよう」「ここを持とう」など、頭で考えて登っている時。

「無意識」で登っている状態とは、”頭で考えなくても体が動いてる”状態を指します。

例えば、あなたが新しい土地に引っ越し、初めてスーパーに行くとします。

初めてスーパーに行くときは、地図を見て道を間違えないよう、考えながら向かうはずです。

これは「意識」してスーパーまで向かっています。

しかし、何度も何度も足を運ぶことによって、何か考え事をしながらでもスーパーにたどり着くことができます。

これは「無意識」にスーパーまで行けるようになった、ということです。

この「無意識」の現象はクライミングにも通用します。

「意識」しながら登っていたものが、何度も同じ動きを繰り返すうち「無意識」で登れる。

この「無意識」を多くしていくことにより、登りに余裕が生まれて完登に近づきます。

これをロジカルに言うと「神経活動量の増加による、筋負荷の低下」となります。

参考文献はこちら(PDF)

クライミングの世界では

”課題に慣れる”

とか

”自動化する”

と言われます。

超集中状態を作りだし、無意識の領域を引き出すと”ゾーン”なんて言葉が使われます。

「強い人」と言われる人たちの特徴は「無意識」で多くの動きができるため、余裕が生まれます。

よって、より細かいところまで意識できるため、難しい課題が登れるのです。

オンサイト能力が高いクライマーは、この「無意識」なクライミングを高次元で発揮しています。

正確なオブザベ力も必要ですが。

4段階の成長レベル

僕たちが、課題を登る時「意識」して登る状態から「無意識」で登れる状態に至るまで、段階があるのです。

上達にはこの4段階のレベルがあります。

4段階の成長レベル

①「無意識無能」(知らない、できない)

②「有意識無能」(分かってはいるけど、できない)

③「有意識有能」(考えると、できる)

④「無意識有能」(できちゃってる)

例えば、初めての掛け算。小学二年生の頃を思い出してください。

最初は皆、掛け算なんて知らない状態でした。

先生に教わったとしても、「うーん…」って感じ。

必死に覚えようと、100マス計算や口に出して覚えませんでしたか?

当時は皆、頑張りました。

今はどうですか?九九言えますよね。

「うーん…」とはならないですよね。

スラスラと九九は言えるはず。

これが④の”無意識有能”な状態です。

要するに”できちゃっている”ということ。

クライミングで例えるなら、

最初は、足置きではシューズの土踏まずは使わない。腕で登るよりも足で登る。

これらのことは、知らない状態でした、つまり①の”無意識無能”です

店員や上級者にアドバイスを貰うことで、分かっちゃいるけどできない②の”有意識無能”な状態になります。

アドバイスを貰った後、課題で教えを実践するのが③の”有意識有能”。

自分で考え、勝手に体が動くようになる。

さらに、教わったことを他の課題でも発揮できる状態。

これが④の”無意識有能”な状態になります。

これらの「成長のレベル」は、上達があるすべてのことにおいて共通します。

勉強、スポーツ、遊び、日常まで。

ここではまず、「成長のレベル」というものがあるんだなぁ。ってことを頭に入れておいてください。

人間の本能

この記事をここまで読み進めてくれている皆様は、「強くなりたい」「成長したい」という向上心がある方たちだと思います。

しかし、どんなに向上心があるクライマーも人間の本能に邪魔されることがあるのです。

クライマーも人間ですから「快楽を求め、苦痛を回避する」という本能を持っています

前述した、「成長レベル」にも快楽を感じる段階と、不快に感じる段階があり、①無意識無能(分からない)段階と④無意識有能(できちゃってる)段階に快楽を感じるのに対し、

②有意識無能(分かってはいるけどできない)段階と、③有意識有能(考えるとできる)段階で不快に感じます。

クライマーなら分かると思います。

「イメージできてるのに登れない」

「教えてもらったのにできない」

これらは②③であり、決して心地よくはありません。

辛いです。恥ずかしいです。

そうすると、人間の本能プログラムにより①の”無意識無能”な状態に戻ろうとします。

「できない、やめよう」

となります。

なぜ、②や③の段階で不快になると①に戻ってしまうのか。

①無意識無能(やらなければ不快を感じないこと)を知っているからです。

もともといた場所は、安心安全で落ち着きますね。

それに対し、④は未知です。

本能は、変化や知らないものを怖がります。

ここが初心者の人がボルダリングを続けるかどうかのひとつの壁になることが多く、②③の有意識の状態を感じ続けた結果、①に戻ってしまうのです。

ボルダリングは比較的、②③の段階でも快の感情を感じることがあり、続けやすいスポーツではあります。

②③の段階を、莫大な練習と深い思考で抜け出した時、僕たちは無意識で登ることができるのです。

筋肉痛を快と感じるか不快と感じるか

筋肉痛

さて、「成長のレベル」には4段階あると説明しました。

これを筋肉の成長に置き換えます。

①無意識無能(知らない、できない)

筋肉痛は痛い。やらないほうがいい。

②有意識無能(分かってはいるけどできない)

筋肉痛は筋肉が壊れている証拠。回復する時に筋肉は少しずつ増えていくことを知っている。しかし、痛みを感じたくないからやらない。

③有意識有能(考えて、できる)

筋肉を増やすメリットがたくさんあることが分かっている。トレーニングしてみたけど、やっぱり痛い。

④無意識有能(できちゃっている)

痛いってことは筋肉が成長する!強くなれる!やったね!or筋肉痛が軽い!

と、このような意識の違いがあり、②③では不快を感じるのです。

筋肉を壊す。痛いです。

そりゃ、痛くない方、①無意識無能「筋トレなんかしない」になりますね。

これは筋肉の成長だけでなく、課題にも置き換えることができます。

①無意識無能(分からない、できない)

この課題難しそう…。後回し。

②有意識無能(分かってはいるけどできない)

この課題難しそう。難しい課題トライすれば強くなりそうなんだけど…。できなかったら恥ずかしい。後回し。

③有意識有能(考えて、できる)

難しそうだけど強くなるためにトライしてみよう。落ちたら恥ずかしいなぁ…

④無意識有能(できちゃってる)

できないことをできるようにするために登るんだ。何回落ちようが、トライしないよりは強くなる。登ろう。

と、まあこんな感じでしょうか。

説教くさく、記事を書いている僕も、本能に忠実になることはあります。

決してすべてが④の段階に到達できているわけではありません。

到達していたら、今頃僕は五段クライマーです。

しかし、この「成長レベル」を知ることで、

「自分は今こっちを選んだんだ」

ということが認識できるようになり、④に近づこうと努力できるようになりました。

④の”無意識有能”に近づくには理性を強くもち、本能に逆らい続けなければいけません。

どうすれば④無意識有能に気持ちが向くのか

④無意識有能(できちゃっている)状態は快です。

しかし、その快の感情をうまく想像できない、経験できていないがために①の無意識無能(やらない)状態に戻ろうとします。

快の感情をうまく想像するには”目標を決める”ことが有効となります。

目標をできるだけ具体的にイメージします。

「あなたの目標は?」

「その目標が達成したと分かるには?」

「目標は誰といつどこで達成する?」

「その目標が達成できたら何がどう変わる?」

「目標のためにできることは?」

「その目標の達成を邪魔するものは?」

「なんでその目標にしたの?」

「何から始める?」

この質問に答えることで、目標が明確になり、行動できるようになります。

「8フレームアウトカム」なんて言ったりします。

気になった方はググってみてください。

目標を決める以外にも、「捉え方を変える」「環境を変える」「誰かを真似る」「ポジティブに考える」ことでも行動がしやすくなります。

強くなるには

「意識」と「無意識」について少し深いところまで書きました。

あなたが今、考えていること(意識)は脳の1%にすぎず、潜在意識(無意識)は99%を締めています。

無意識というのは、今までの経験や考えがもとになり、多くのことがコントロールされているのです。

無意識の中でのクライミングは「今までに自分がどう登り、なにを考え登ってきたか」が影響し、クライマーとしてのスタイルが形作られていきます。

実は、「成長レベル」にはもう1段上の段階があります。

⑤無意識有能の有意識教示

となり、あなたが無意識で行っていることを意識して人に教えることができる状態を指します。

⑤の段階まで入れた「5段階の成長レベル」は、どの段階に進むにも、たくさんの時間、努力、代償が必要です。

時には楽な方に流されてしまうこともあるでしょう。

しかし、それは誰のせいでもなく、自分で選んでいる。ということなのです。

例えば、ダイエット。

食べたいものを食べたいだけ食べる。

これは①無意識無能です。

②③はダイエット期間です。

我慢したり、考えたり。辛い期間となります。

この期間を頑張って乗り越えることで、④のダイエットの成功が待っています。

誘惑のせいだったり、会社の飲み会のせいにしてみたり、ストレスを紛らわせるため、と言い訳ばかりではないですか?

すべて自分が選んでいます。

さて、今あなたはクライミングの上達を望んでいますか?

強くなるためのアドバイスは昔の僕のブログに書いてありますし、強い人の登り方や練習風景を見れば気づくはず。

今、僕たちは②有意識無能、③有意識有能の状態。

強くなるために何をすればいいのか、もう分かっています。

選びましょう。


参考文献

プロが教えるはじめてのNLP超入門
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【知らなきゃ損!】科学的に証明された回復法で1グレード強くなれます

※以下の文章には一部プロモーションが含まれます。

ボルダリング上達に必要なのは「マインド」「トレーニング」「リカバリー」だと僕は考えています。

体への負荷が大きいスポーツだからこそ、回復をおろそかにするとケガにつながります。

実際、僕は15年間の中で疲労が抜けないまま登って大けがをしたり、無理な減量でスタミナを失った経験があります。

その経験から言えるのは、「体のケアを怠らないこと」。

疲労や緊張が続くと、体にダメージが蓄積してしまいます。

リカバリーには「食事」「睡眠」「セルフケア」の3つが重要。

トレーニングと同じくらい回復にも意識を向けることで、理想の自分に一歩近づけるはずです。

こんな方は続きを読んでみて下さい
  • 怪我をしたくない
  • もっと強くなりたい
  • モテる体を手に入れたい
食事で回復させる(詳細)

「自分が食べるものが体を作る」という言葉をよく聞くことがあります。

糖質や脂質はエネルギーとなり、タンパク質は体を回復させ、ビタミンやミネラルは回復を促進させます。

その中でも身体を回復させるのに重要な栄養素はタンパク質です。

タンパク質(アミノ酸)には、筋肉痛の軽減効果や筋肉増強効果があります。

体は運動開始時から回復が始まり、その後48時間ほど続きます。

この、体が回復している間、体内に十分なタンパク質で満たす必要があります。

普段の食事から十分なタンパク質を摂れない場合、プロテインやEAA(必須アミノ酸)で補っていく必要があるのです。

僕は甘ったるいプロテインを飲んでいたら、”飽き”と”くどさ”でプロテインが飲めなくなりました。

オススメはEAA(必須アミノ酸)です。

僕がオススメしたいEAAはこちら➡Impact EAA

このEAAは甘すぎず飲みやすいので1年以上リピートして飲んでいます。

僕がimpactEAAを飲む理由
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BCAAとEAAとロイシンを比較した文献ではロイシン<BCAA<EAAという順番で効果が高いとの結論でした。

EAAって何?

どのタイミングでどれくらい飲めばいいの?

という疑問をお持ちの方は、下記の記事にまとめてありますのでぜひ読んでみて下さい。

\おすすめの記事/

※年齢を重ねるとさらにタンパク質必要量が増加するという資料もあります

参考文献

睡眠で回復させる(詳細)

睡眠もボルダリングの疲れを回復させるために重要です。

睡眠不足には以下の影響があります。

  1. トレーニング効果減少
  2. 筋グリコーゲンの減少
  3. 集中力低下

トレーニング効果減少

睡眠不足で筋肉の回復や成長が妨げられ、トレーニングの効果が低下します。

筋グリコーゲンの減少

睡眠不足で筋肉のエネルギー源である筋グリコーゲンの蓄えが減り、疲れやすくなりパフォーマンスが低下します。

集中力低下

睡眠不足で集中力が低下し、注意散漫になります。

トレーニングや学習に支障をきたす可能性があります。

以上のことから、

体を回復させるためには、十分な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠を繰り返さなければなりません。

リラックスするために寝る前にストレッチや深呼吸を行うと良いでしょう。

さらに、湯船につかる、就寝前のスマホをやめるなども効果的です。

参考文献

セルフケアで回復させる(詳細)

僕は2021年に首を痛め、2022年には肩のケガを負い、長い期間とても辛く、悲しい思いをしました。

スポーツ全般に言えますが、

怪我を負うことは【上達の停滞】を意味します

ケガの原因を探ったところ、筋肉のコリが原因で負荷が偏り、ケガにつながったようでした。

疲労やコリを回復させる上で重要なのは、筋肉の緊張を緩めてあげることです。

「筋肉の緊張を緩める」とは要するに、血行を良くするということです。

警告します

以下のような方は重大なケガをしてしまう可能性がります。

  1. 慢性的にこっている場所がある
  2. 慢性的に痛い箇所がある
  3. 体の一部の柔軟性が低い

姿勢が崩れれば、普通は負担がかからないところに長時間負担をかけている状態です。

長時間無理な姿勢が続くと、血行が悪くなり筋肉の硬直が進みます。

分かりやすくすると、

姿勢の崩れ➡筋肉の緊張➡血行不良➡筋肉の硬直

となります。

さて、慢性的にこっているという人が考えなければいけないことは2つ。

姿勢の改善

血行の促進

です。

これらを改善するために、僕がオススメするのは「マッサージガン」です。

こんな方におすすめです。

  • 肩こりや疲労がある方
  • 整体に行くのが面倒な方
  • マッサージ店に通っている方
  • 時間もお金も無駄にしたくない方

整体やマッサージ店に通うのもいいですが、圧倒的にコスパがいいのがこの「マッサージガン」です。

実際僕も使っていて、即効性の効果もあります。

週に一度、整体やマッサージ店に通うより、毎日のマッサージガンが体を回復させます

マッサージガンのここが良かった!
  • 持ち運べる
  • 毎日できる
  • マッサージで疲れない
  • 筋肉がほぐれて可動域が広がる
  • パフォーマンスが向上する
  • 翌日のダルさが軽減される

いろいろマッサージガンを試してきて、今実際に僕が使っているのは「uFit RELEASER Mini」というマッサージガンです。

このサイズの中では一番パワフルで、押し当てても止まらないのが最高です。

充電が6時間ほどもつため、遠征にもっていけるのも魅力のひとつでした。

僕が使った感想を詳しく知りたい方はこちら➡マッサージガンのレビュー

いろいろなマッサージガンをまとめた記事はこちら➡マッサージガン徹底比較

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参考文献

【リカバリーまとめ】

食事、睡眠、セルフケアをバランスよく行うことで、ボルダリングの疲労を効果的に回復させることができます。

自身の体の声を聴きながら、適切なケアを行い、より充実したボルダリングライフを送りましょう

\いろいろな角度から上達できる方法をまとめています/

\トレーニングの質を上げたい方はこちら/

マインドを変えたい方はこちら

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