今回は指と手のケア方法をご紹介します。
テーピング方法やパキリについて詳しく書きました。
読んできた本から得た知識と、クライミング歴10年以上、ジム店員の経験から、皆様にわかりやすく伝えていきたいと思います。
- 指の皮が削れてしまった…
- まめができていて痛い…
- 指が痛い…
- パキってしまったかもしれない…
- おすすめのケア商品が知りたい…
- テーピングの巻き方がよく分からない…
- 早く治したい…
この記事を書いた人
ぶちょー(クライミング飛鳥店長)
15歳からクライミングをはじめ、現在29歳。
趣味は読書やカメラ。
【登ってきた主な課題】
最高RP 四段 5.13d フルチャージ(四段) Midnight Lightning(V8)などなど
指皮、まめ、パキリの怪我とケア
- 怪我を治すには
- 指皮の回復法
- まめの回復法とテーピング
- パキリの回復法とテーピング
治すには食事とレストが大切
基本的に、”体は食べたもので作られています”。
そして、”治る前にまた登れば、いつまでたっても痛いまま”です。
食事の栄養がかたよると炎症や傷の回復は遅くなりますし、エネルギーになりません。
傷を治す食事とは、タンパク質、ビタミンC、亜鉛、鉄を多く含んだ食べ物です。
タンパク質は筋肉や皮膚、爪、髪などを作ります。
そして、ビタミンC、亜鉛、鉄がタンパク質の合成を助ける働きをします。
タンパク質 | ビタミンC | 亜鉛 | 鉄 |
肉類 卵 乳製品 大豆食品 など | アセロラ ピーマン ブロッコリー レモン など | レバー 牡蠣 カシューナッツ など | レバー カツオ など |
傷や炎症を治すには、レストし、栄養のある食事をとることが前提となります。
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温めるか冷やすか
怪我をしてしまったとき、患部を温めるのか冷やすのか、よくわからないという方が多いように感じます。
結論から言いますと、”炎症は冷やしたほうがよい”です。
早く冷やせば早く冷やすほど効果があるといわれています。
炎症にはアイシングがまず第一だ。それは炎症によって生じた内出血が周りの細胞をも酸欠状態にして(二次的低酸素障害)、懐死すること(二次的外傷性損傷)を、その細胞を冷却して代謝を落とすことで守るためだ。
クライマーズコンディショニングブック より引用
しかし、慢性的な炎症の場合はアイシングはあまり意味がなく、むしろ温めることで血流を促したほうが良いようです。
ただし、慢性的な炎症を抱えながらクライミングを継続する場合は、その都度アイシングしましょう。
- 内出血や炎症を起こしたら、できるだけ早くアイシングをする
- アイシングは30分以上←それ以下だと止めたとき、逆に血管が拡張してしまうため
- アイシングはできるだけ広範囲に
- アイシングは冷たすぎなくていい←長い間患部にあてられないから
- 筋肉痛などの微炎症にアイシングをすると、筋肉が大きくならない可能性あり
⇧⇧⇧⇧⇧⇧大切です!⇧⇧⇧⇧⇧⇧
削れた指皮のケア
傷の度合いにもよりますが、皮膚の角質まで回復するのには2週間~4週間かかるといわれています。(日本創傷外科学会HPより)
指皮をより早く再生させたい場合、前項で説明した食事とレストに加えて”保湿”をするといいでしょう。
本気で回復させたい場合、夜に「ハンドクリーム」か「メモA」などを塗り、ビニール手袋をして寝ましょう。
手のひらのまめと指のまめ(内側の傷)
ガバなどを持つと、手の皮の肉が寄ってしまい、まめができることがあります。
とくに、初心者のうちは指の付け根によくまめができ、これを”ガバだこ”と呼んだりします。
ガバだこができて、「登りたいのに痛くて登れない!」となった経験は少なからずあるはず…
そこで、ガバだこやまめができても登れるように、応急処置的テーピング方法をお教えいたします。
- 患部をよく洗う
- テーピングをきつく巻かない
- テーピングの巻き終わりは手の甲
- 痛いときは無理して登り続けない
すぐに外れてしまう手のひらのテーピング方法
オススメのテーピング方法
①30~40㎝のテーピング(幅25㎜)を2枚用意します。
②片方を半分に折ります。
③半分に折ったテーピングの先2㎝を、また折ります。
④赤ラインをハサミで切ります。
⑤穴に指をいれ、手首のテーピングで止めます。
これで再利用可能な、手のひらのまめ用のテーピングが完成しました。
すぐに外れてしまう指のテーピング方法
指のまめのテーピング方法
①7㎝~10㎝を4枚、4㎝を1枚、テーピング(幅12㎜)を用意する。
②アンカーを巻く(これがあることで外れにくくなる。)
③アンカーをつなぐ
④上からもう一枚巻く
完成です。
必要に応じて、アンカーをつないでいるテーピングを増やしてください。
たこではなく、内出血の方はテーピングがあまり意味がないです。
内出血を起こしている方は、アイシングをしてレストをしましょう。
指の筋肉と腱、腱鞘の炎症
指まわりのケガはクライマーにとって致命的です。
主には関節炎、腱鞘炎、腱の炎症、筋肉の炎症があり、これらの一部をクライマーは”パキる”や、”パキり”と言ったりします。
損傷時、「パキッ」っという音が聞こえることからそういわれていますが、実際には音がならないことが多いです。
パキリについて
パキリと言われる症状は腱鞘か腱の損傷、筋肉の損傷のいずれかを指します。
”筋肉の損傷”はイメージしやすいですね。
”腱”というのは筋肉と骨を繋いでいる組織です。
”腱鞘”というのは腱を支えている(おさえている)組織になります。
それらが損傷、剥離することで痛みが誘発されるのです。
症状として「指を曲げて荷重すると痛む」「指の腹を押すと痛む」「指を曲げたら痛む」「日常の動作で痛みが出る」「何もしていなくても痛む(重症)」「指が曲がらない(重症)」などがあります。
筋肉は血が通っていることから比較的早く治りますが、腱や腱鞘を大きく損傷してしまうと、長い期間の休養が必要となります。
線維組織の損傷のため治りは遅く、軽傷でも3か月~半年は悩まされることがある。
クライマーズコンディショニング「腱鞘炎」 より引用
- 痛めたと思ったらクライミングを中断する
- まずはアイシングをする
- 揉んだり伸ばしたりしない
- 重症の場合は指に詳しい専門医にみてもらう
指が痛む場合、腱や腱鞘を痛めている可能性が高く、腕に痛みがある場合は筋肉を傷めている可能性が高いです。
パキる原因
パキる原因を一概にはいえませんが、「細かいホールドを強く握った時」「ポッケに勢いよく掴みに行ったとき」が多いと感じます。
特に、カチ持ちをしたときに腱鞘への負荷が高くなります。
さらに、パキる人の特徴として、腕や指が細い、前腕から背中にかけて筋肉が固まっていることがあります。
関節炎について
関節が痛む場合、多くはカチ持ちの負荷が原因です。
すでに関節が変形していて、曲げたり伸ばしたりする可動域が狭まっているクライマーは多くいます。
長年、ハードなクライミングを続けている人は靱帯や腱鞘も痛んでいて、それが変形の原因にもなっています。
予防策
予防策として「レスト」「ウォーミングアップ」「ストレッチ」「筋膜リリース」「登り方の矯正」があります。
レスト
筋肉がしっかり回復するまで48時間から72時間かかるといわれています。
それより前に同じ筋肉を傷つけてしまうと、疲労がたまり続け、ケガの原因となります。
さらに、筋肉が育たないので力もつきません。
しっかりレストすることが上達にもケガの予防にもなるのです。
ウォーミングアップ
ウォーミングアップは筋肉の温度を高めていき、筋肉の反応速度を上げていく作業です。
いきなり高負荷の刺激は筋肉を疲れさせ、パフォーマンスを落とし、ケガにつながります。
軽い全身運動から始め、筋肉に血を送り、徐々に負荷を上げていくことでウォーミングアップが完了します。
ストレッチ
ストレッチは日々やるものですが、とくにクライミング前よりもクライミングの後が大切です。
クライミングで使った、固まっている筋肉を伸ばしましょう。
指のパキリ予防を考えたストレッチとして、手のひらから始め、前腕、上腕、肩、背中、首までストレッチするのがベストです。
筋膜リリース
身体には筋膜という、筋肉を覆っている薄い膜が張っています。
それをほぐすことで血液などの流れを改善し、回復を促す効果があります。
ただし、強い刺激は逆に筋肉を硬直させてしまうため、効果がありません。
⇩指のマッサージにはこちらがおすすめ!⇩
⇩腰や背中の筋膜リリースにおすすめ⇩
⇩腕や足などの筋膜リリースにおすすめ⇩
- 手のひらや前腕にピンポイントで筋膜へ刺激が入る
- コンパクトで持ち運びしやすい
- 振動の調節が可能
⇩マッサージガンはこちらの記事から⇩
登り方の矯正
ケガをするクライマー達は「登っている時に肩が上がっている」「ホールドを理にかなっていない方法で保持している」など、登り方や保持の仕方に癖がある場合があります。
それだと、指がねじれるなどして余計な負荷がかかり、ケガにつながります。
簡単な課題や長いルートなどでしっかり自分の動きを見直すことが予防につながります。
治ってきたら
パキッたと思ったら最低2週間以上は安静です。
軽いパキリならテーピングである程度登ることはできますが、同じところを何度も損傷するとさらに痛めやすくなります。
よって、完治するまでは極力登らないようにしましょう。
回復してきたと感じたら以下のサイトを参考にしてみてください。
ロストアローWEBサイト(ブラックダイヤモンド HANG RIGHT PART 3:しつこい指の故障を治す)
腱を守るテーピングの方法
①7㎝~10㎝を4枚、4~6㎝を2枚、テーピング(幅12㎜)を用意する。
②アンカーを巻く
③アンカーどうしをクロスさせて繋ぐ(指は少し曲げる)
④アンカーの上から巻く
完成です。
参考文献
ロストアローWEBサイト(ブラックダイヤモンド HANG RIGHT PART 3:しつこい指の故障を治す)
筋再教育運動が筋膜リリース後の筋膜の伸張性および筋力に与える影響 勝又泰貴 理学療法科学 31(1):99-106,2016 (PDF)
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