筆者は2020年ごろからクライミングの怪我が続き、満足な練習ができずに悩まされていました。
怪我が続く理由を調べた結果、筋肉の凝りや硬さが原因だということに気が付きました。
最近、体が硬くなってきた…
なんで筋肉が凝るんだろう…
このように体の違和感を感じている方や、疑問をお持ちの方は、ぜひこの記事を読み進めてみて下さい。
まず、怪我や不調の原因の一つとして、体が硬くなることが挙げられます。
体の硬い方は重大な怪我につながる可能性があります。
なぜなら、体の一部が凝っていたり硬くなっていると、姿勢やバランスが崩れていきます。
崩れた姿勢やバランスのままクライミングを続けると、負荷が偏りケガにつながってしまうのです。
- 硬くなる原因
- 凝る原因
- 柔らかくする方法
これらを再確認することで「怪我の予防」や「パフォーマンスの向上」につながります。
それが、あなたの「グレードを上げる目標」だったり「より楽しいクライミング」の手助けになれば幸いです。
ニックネーム➡ぶちょー
- 歴10年以上のクライマー
- クライミングジムの店主
- 読書が趣味の内向型人間
- サプリオタク
- 5年以上サプリを飲んでます。
筋肉が硬くなる、凝る理由
筋肉が凝る原因を知ることは、体を柔軟に保ち、怪我のリスクを抑えるために大変重要です。
筋肉の凝りは生活習慣的要因と筋肉内部で起きている事象によって説明ができます。
まず、体が硬くなったり、凝ったりしていしまう要因としては以下の7つが考えられます。
- 姿勢
- 怪我
- 寒さ
- 運動不足
- 水分不足
- 自律神経の乱れ
- 内臓疾患
次に、筋肉の内部で起きている具体的な原因として、以下の3つが挙げられます。
- 筋肉の長さの短縮
- 筋肉の萎縮と線維化
- 血行不良
次の項目から筋肉が硬くなってしまう「生活習慣的要因」と筋肉内部で起きている「原因」を説明していきます。
硬くなってしまう生活習慣的要因
では、まずは硬くなる要因を説明していきます。
要因1「姿勢が悪い」
一つ目の要因として、姿勢の悪さによって筋肉が硬くなることが挙げられます。
具体的な例として、長時間のデスクワークやスマートフォンの使用によって、多くの人が前かがみの姿勢をとりがちです。
この姿勢では、胸部が圧迫されて肩が前に丸まり、骨盤が後傾します。
姿勢の悪さが長時間続くと、特定の部位は縮まり、縮まった部位のサポートをする筋肉に力が入り続けるという現象が起こります。
このような筋肉のバランスの不均衡が筋肉の硬さにつながるのです。
以下は、姿勢の悪さによる筋肉の硬さの例を表にしています。
巻き肩が関与する場合 | 骨盤の不適切な位置が関与する場合 | |
---|---|---|
硬くなる筋肉 | 胸部と背中の筋肉 | 腰と背中の筋肉、大腿部 |
症状 | 肩が内側に巻かれる、胸部が圧迫される | 腰が前傾または後傾する、背中が丸まる |
主な原因 | デスクワーク、長時間のスマホなど | 長時間の運転など |
適切なエクササイズや正しい姿勢の維持を行うことで、姿勢による筋肉の硬さを緩和できます。
要因2「怪我」
怪我によって筋肉が硬くなる主な理由は、筋肉の動きの制限、および炎症が挙げられます。
怪我をすると、痛みによって筋肉を動かさないようにすることが一般的です。
筋肉の動きが制限されると、筋肉周辺組織の密度が高まり、硬くなる可能性があります。
また、炎症が起きると筋肉内部の組織が互いにくっつき、正常な動きを制限することで筋肉の硬さを引き起こします。
これを癒着と呼ぶことがあります。
要因3「寒さ」
寒さによって筋肉が硬くなる理由は、体が体温を保つために血管を収縮させることと、筋肉自体が収縮して体温を上げようとするためです。
寒冷な環境では、体は体温を逃がさないように血管を収縮させます。
同時に筋肉も収縮します。筋肉はエネルギーを使って収縮し、体温を上げようとします。
この筋肉の収縮によって、筋肉が硬くなるのです。
寒さによる筋肉の硬さを軽減するためには、いくつかの対策を取ることが重要です。
適切な服装やウォーミングアップ、環境の調整などの対策を取ることで、寒さによる筋肉の硬さを和らげることができます。
要因4「運動不足」
運動不足によって筋肉が硬くなる主な理由は、衰えた筋肉による毛細血管の減少と血液循環の不十分さです。
運動不足による筋肉の衰えは、筋繊維の減少や筋肉組織の変性を引き起こします。
衰えた筋肉は毛細血管が少なくなり、その結果、十分な血液が筋肉に届かなくなります。
さらに、運動不足により筋肉の収縮や拡張が十分に行われないため、血液の循環が十分でなくなります。
血液は酸素や栄養素を筋肉に供給し、老廃物を取り除く役割を果たしています。
血液循環の不十分さにより、筋肉に必要な酸素や栄養素の供給が減少し、同時に老廃物の蓄積が起こります。
適度な運動やストレッチ、積極的な生活スタイルを取り入れることで、運動不足による筋肉の硬さを軽減できます。
要因5「水分不足」
水分不足によって筋肉が硬くなる主な理由は、体内の水分不足による脱水状態が筋肉の正常な機能を妨げることです。
水分不足による脱水状態では、体内の水分量が減少します。
筋肉も水分を必要とし、適切な水分量が維持されないと、筋肉の柔軟性や収縮能力が低下し、硬さを引き起こす可能性があります。
例えば、激しい運動や暑い環境での活動中に水分を摂らない場合を考えてみましょう。
これにより、体内の水分が不足し、脱水状態になる可能性があります。脱水状態では、筋肉の正常な機能が妨げられ、筋肉が硬くなることがあります。
水分不足による筋肉の硬さを軽減するためには、以下の対策が効果的です。
- 十分な水分摂取: 成人の場合、約2.5リットルの水分摂取が推奨されます。適度な間隔で水を飲むことで、体内の水分量を適切に維持し、筋肉の柔軟性と機能をサポートします。
- 適切な水分補給: 運動や活動中は、適切な水分補給を行いましょう。長時間の運動や激しい運動を行う場合には、水分補給のためにスポーツドリンクなどの補給液も検討することが重要です。
要因6「ストレス」
ストレスによる自律神経の乱れが筋肉の硬さを引き起こします。
自律神経はストレス応答に重要な役割を果たしており、交感神経と副交感神経のバランスが乱れることで筋肉に緊張が生じます。
交感神経が優位になると、筋肉は収縮し硬くなります。
また、ストレスによって筋肉に蓄積される緊張は、適切な休息やリラックスができないため持続します。
ストレスによる筋肉の硬さを緩和するためには、以下のような対策を取ることが重要です。
- ストレス管理
- 適度な運動やストレッチを取り入れる
- 休息や良質な睡眠を確保する
- セルフケアやリラックスタイムを設ける
ストレスによる筋肉の硬さは、ストレスを軽減し、リラックスすることで改善できます。
日常生活でストレスを感じた時には、積極的にストレスケアを行いましょう。
要因7「内臓疾患」
内臓疾患によって筋肉が硬くなることがあります。
内臓と筋肉は同じ神経系に支配されていることがあるため、内臓の炎症が筋肉にも伝わり、筋肉が硬くなる可能性があります。
他にも内臓の不調が原因で姿勢が悪くなり、硬くなってしまうことも要因として挙げられます。
筋肉が硬くなってしまう原因
この項目では硬くなってしまう原因について、筋肉内部からの視点で説明していきます。
原因は以下の3つに分けることができます。
- 血行不良
- 短縮
- 線維化
これだけだとイメージがしにくいと思いますので、詳しく説明していきます。
筋肉への血流が滞る
血行不良によって筋肉が硬くなる主な理由は、酸素供給の不足です。
血行不良が起こると、血液の循環が悪化し、酸素や栄養素が正常に運ばれなくなります。
筋肉は酸素を必要とするため、酸素供給が十分でないと筋肉の機能が低下し、硬くなる傾向があります。
例えば、座りっぱなしの生活や長時間の静的な姿勢を続けることで、血行不良が起こりやすくなります。
このような状況では、血管が圧迫され、血液の流れが滞り、酸素供給が十分に行われません。
結果として、筋肉が酸素不足になり、硬くなる可能性が高まります。
血行不良の対策としては、適度な運動、適切な姿勢、マッサージやストレッチ、健康的な食事が有効です。
筋肉が短くなる
筋肉は、中に「筋節」と呼ばれる節が連なっています。
この筋節の数は、筋肉の張力によって調整され、筋肉の長さを制御しています。
具体的にどういうことかというと、筋肉をストレッチなどで伸ばす刺激が多い場合、筋肉は必要な長さを維持しようとして筋節を増やします。
しかし、逆に同じ姿勢を長時間続けたり、筋肉の動きが少なくなると、筋節は「その長さは必要ないんじゃないか」と判断して減らしてしまいます。
結果として、筋肉の長さが短くなってしまうのです。
つまり、筋肉は動かさない分だけ長さが短くなるということです。
このことから、私たちは筋肉を健康な状態に保つためには、常に適度な運動やストレッチを行う必要があることがわかります。
動かさないことによって筋肉が短くなってしまうのを防ぐために、日常的に体を動かし、筋肉を柔軟に保つことが大切です。
筋肉が細くなり、線維化する
運動不足などにより筋肉が細くなったり、慢性的な炎症が続くと筋肉内部では筋膜の割合が増え、硬くなります。
詳しく説明すると、体の中で慢性的な炎症が起こったときに、筋線維芽細胞と呼ばれる細胞が過剰に細胞外マトリクス(細胞の周囲にある物質)のタンパク質を作り出し、組織に過剰に蓄積することで硬くなっていきます。
簡単に言うと、線維症は体の中で炎症が続いているときに、特定の細胞が過剰なタンパク質を作り出してしまい、それが硬さの原因になっているのです。
柔らかくする方法とメカニズム
柔らかくする方法として、硬くなってしまう要因のいずれか、またはすべてを見直すことがまずは必要です。
体を柔らかくしたいと思ったとき、硬さの要因を取り除いたのちに以下の方法で柔らかくしていきましょう。
- マッサージ
- ストレッチ
この項目では、体が柔らかくなるメカニズムを説明します。
柔らかくする方法①マッサージ
マッサージによる刺激は筋肉や筋膜組織に作用し、血流やリンパの循環を促進します。
さらに、筋肉内部の血流やリンパの循環が良くなることで、緊張がほぐれ、柔軟性が向上します。
振動によって柔軟性が向上することを示した研究もあり、このことからマッサージガンも柔軟性向上に有効となります。
参考文献
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7675623/
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6416504/
- https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37020441/
柔らかくする方法②ストレッチ
ストレッチをすると起こる体の変化
- 筋肉の長さの増加
- 伸びに対する筋肉の寛容性の向上
- 潤滑剤の増加
筋肉の長さが長くなると柔らかくなる
筋肉の長さが長くなる理由は、筋繊維によって構成される筋肉細胞内にあるサルコメディアと呼ばれる細胞が関与しています。
サルコメディアは一般的な細胞よりも多くの角を持つ特殊な細胞であり、周囲にはサテライト細胞と呼ばれる細胞群も存在します。
このサテライト細胞は増殖や分裂を担当し、筋肉が伸ばされる刺激が長く続くと新しい節を形成する指示を出します。
その結果、筋肉の長さが増え、骨格に対するストレスが軽減されることで体が柔らかくなります。
筋肉が伸びることに寛容になる
筋肉が伸びることに対して寛容になる理由は、筋紡錘と呼ばれるセンサーが関与しているからです。
筋紡錘は筋肉の長さを感知する役割を持ち、強く速く筋肉が伸ばされると反応して筋肉を縮める指令を出します。
これは伸張反射と呼ばれるもので、筋肉の断裂を防ぐための反射活動です。
筋肉が頻繁に伸ばされる場合は、筋紡錘が反応する必要が減り、伸張反射の発動ポイントが上がります。
その結果、伸びることに対して体が寛容になり、体は柔らかくなります。
潤滑剤が豊富になる
潤滑剤が豊富になる理由は、グリコサミノグリカンという水とヒアルロン酸が合成されたゲル状の物質が体の至る部分に存在し、組織同士の滑りを良くするために働くからです。
体に対する伸ばされる刺激が続くと、組織のギシギシした感じが解消され、動きがスムーズになります。
したがって、体の柔らかさが増すことにつながります
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