最近とても興味深い本を読みました。
それがこちら。
プロのピアニストはなぜ、あんなに早く指を動かせるのか。
なぜ、一曲を通した演奏をしても疲れないのか。
なぜ、二時間超のコンサートに耐えることができるのか。
これらの疑問を科学的に説明してあり、クライマーの役に立つと思いました。
この本から僕が学んだことをクライマーに伝わりやすいよう、かいつまんで記事にします!
力の出力ばかり意識している人は、これから説明する「イメージ」と「省エネ」の話が役に立つはずです。
ピアニストと一般人の筋力は変わらない
なぜプロのピアニストは一般人と比べ、あんなに早く指を動かせるのでしょうか。
皆様はどう思いますか?
才能?筋力?
才能ではありません。
早く指が動くのは、幼いころから毎日、努力を積み重ねてきたからです。
努力の積み重ねで筋力がアップしたのでしょうか。
違います。
ピアニストと一般人の指の筋力を測定した研究によると、”両者の筋力はたいして変わらなかった”そうです。
では一体、何が違うのでしょうか。
脳の違い
一般人とピアニストの違いは”脳”にあります。
プロのピアニストは一般人に比べて、活動している神経細胞が少ないのです。
どういうことかというと、プロのピアニストは「脳がたくさん働かなくてもいいように”洗練”されている」ということです。
クライマーの”洗練”された状態を、僕は昔に「無意識有能(できちゃっている)状態」と説明したことがあります。
⇩それの記事がこちら⇩
要するに、脳を鍛えることが技能の洗練につながり、上達の糸口になるのです。
脳を鍛えるためには「莫大な練習量」「深い思考」が必要です。
多くの練習と思考の積み重ねによって脳の神経細胞を増やし、新しい体の使い方を獲得しましょう。
イメージトレーニングの効果
ピアニストのイメージトレーニングの効果を調べた研究があります。
全くピアノをしたことのない人を、
「2時間ピアノを弾いて練習」
「2時間ピアノを弾いている指を思い浮かべる」
「何もしない」
以上のグループに分け、5日間調査しました。
結果、最も脳部位の神経細胞の働きが向上したのはピアノを実際に弾いたグループでした。
しかし、驚くことにイメージトレーニングしたグループも神経細胞の働きが向上していたのです。
つまり、イメージするだけでも脳が鍛えられ、指を早く動かせるようになっていたのです。
さて、クライマーの皆様。
僕がこれを読んで考えたのは「登っているところを普段からイメージしている人は、そうでない人に比べて技術が洗練されているのではないか」ということです。
クライミングというスポーツは負荷が高く、毎日登っていると故障につながります。
しかし、実際に登る以外のトレーニング「イメージトレーニング」をレスト日にすることで、365日のトレーニングが可能になるのです。
トレーニングジャンキーには夢のような話。
クライミング技術の差は、今までに登った量の差だけではないのかもしれません。
クライミングの上手な人、そうでない人。
イメージトレーニングの量と実際に登るトレーニングの量の差が、クライミング技術の差になっていると思われます。
ピアニストの省エネ術
プロのピアニストは一曲を通した演奏でなぜ疲れないのか。
なぜ、2時間超のコンサートの演奏に耐えることができるのか。
それは「ピアニストは筋肉の省エネ術に長けている」からです。
一回の打鍵ならほんのわずかな違いですが、長時間の演奏をする場合、その小さな差が疲労度の大きな違いとなります。
ピアニストの省エネ術が興味深く、クライミングにも当てはまっていると思ったのでご紹介します。
①無駄な時間に力をいれない
ピアニストは鍵盤が底に達した時、すぐに力を緩めます。
最小減の力で鍵盤を抑えるため、一般人に比べて力の出力時間が少なく疲れません。
②フォームの工夫
演奏中、アマチュアはプロに比べて、打鍵(だけん)しない時、指を持ち上げた状態になっています。
つまり、アマチュアは指を持ち上げておく筋力を常に出力していて、効率の悪いフォームになっているということです。
③脱力
プロのピアニストは打鍵の時に、筋肉をタイミングよく緩めて重力を使い、狙った速度で腕を落とします。
初心者は筋力を使い、腕をおろします。
力を発揮する時より緩める時の方が、脳の神経細胞は活発になります。
脱力は難しいのです。
④しなりの利用
プロは打鍵の時、指や腕でなく肩の筋肉を収縮させ、上腕にブレーキをかけて肘から先を加速させます。
身体の筋肉は先にいくほど小さくなり、すぐに疲労します。
身体の中心に近い筋肉ほど大きくなり、出力時間が増えます。
⑤受ける力をいなす
プロは打鍵する時、指を立てます。
初心者は指を伸ばします。
指を伸ばすということは、指先から関節までの距離が長くなり、より大きな力が必要になるということ。
さらに、手首の筋肉を固め過ぎず、筋肉のクッションを利用して打鍵の衝撃を逃がします。
⑥イメージしてから力(りき)む
これから鳴る音をイメージしてから打鍵すると、指の加速度が小さくなります。
最後に
ここまで「ピアニストと一般人の脳の違い」「イメージトレーニングの有効性」「ピアニストの省エネ術」を紹介してきました。
この記事を最後まで読んでくださった方に感謝します。
記事の中に、あなたのクライミングに役立つものがあれば幸いです。
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