- クライミングを続けているのに強くならない…
- 努力しているのに上達しない…
- 成長の限界かもしれない…
- 頑張っているのに弱くなってきた…
- モチベーションは高いのに下手になっている気がする…
これらの悩みを抱えたクライマーの皆様。
それは「スランプ」や「プラトー」という、誰にでもあるとされている現象かもしれません。
スランプを感じても、くじけてはいけませんよ。
スランプやプラトーは克服した時にさらなる技能の飛躍、成長が訪れるのですから。
大切なのは「自分がスランプやプラトーだと自覚すること」です。
”原因”と”克服方法”を、今から詳しく説明していきたいと思います。
この記事を書いた人
ぶちょー(クライミング飛鳥店長)
15歳からクライミングをはじめ、現在29歳。
趣味は読書やカメラ。
【登ってきた主な課題】
最高RP 四段 5.13d フルチャージ(四段) Midnight Lightning(V8)などなど
\\おすすめ書籍//
はじめは登れるグレードがどんどん上がっていったのに!
最近はずっと同じグレード登ってるの…
それはスランプやプラトーと呼ばれる現象かもしれません。
一緒に解決方法を探していきましょう。
スランプって?
スランプ(slump)とは「体力的にも余裕があり、疲労を感じているわけでもないのに、モチベーション高く努力を続けても生じる停滞、後退現象」となります。
つまり、”練習量は変わらないのに技能が後退すること”を指します。
スランプはクライミングキャリアが比較的長い、ある程度の実力を持った人が陥りやすく、ベテランになればなるほど苦しいものとなります。
「スランプ」の定義は人それぞれですが、本人が「スランプ」だと感じていることが問題です。
プラトーとは?
プラトー(Plateau)とは上達していく過程で、意識とは無関係に進歩が止まってしまう時期が誰にでもあり、成長曲線が横ばいになってしまうことを指します。
ようは、”技能が停滞すること”をプラトー(高原現象)と呼びます。
一時的な停滞状態のことを言う。おもに筋力トレーニング時の停滞期を指す。語源は「高原:plateau」からプラトーに陥ると、今までと同じトレーニング内容にもかかわらずまったくと言っていいほど成績が向上しない。この原因は、休養不足、栄養不足などが挙げられる。また、同じトレーニングメニューを何ヶ月もこなしていると、内容がハードでもプラトーに陥る。
Wikipedia-プラトー(トレーニング)
プラトーはどんなに才能があるひとにでも起こりうるもので、習熟レベルが低い人(クライミングキャリアが短い人)はスランプよりもプラトーの可能性が高いそうです。
スランプやプラトーの原因
上達の停滞には様々な要因があります。
- 敗北や敗退
- 目標達成の失敗
- 目標を達成した時
- 過度な好調
- 練習不足
- オーバートレーニング
- スタイルの変更
- 身体的変化
- 心理的飽和(飽きてくること)
- 環境の変化
- 怪我
スランプやプラトーは至るところに潜んでおりますが、大切なことは本当にスランプなのか正確に判断することです。
なぜなら、まわりとの差が開いたからといって、自分がスランプになっているとは限らないからです。
本当は緩やかに上達していることもあります。
失敗、敗退、成功、完登
スランプやプラトーになる原因は多岐にわたります。
その中でも「失敗」と「敗退」がスランプやプラトーに陥る原因として最も多く、一番分かりやすい理由ではないでしょうか。
「失敗」や「敗退」は単に自信が無くなるだけでなく、自分の技術への信頼性が落ちてしまうのです。
このとき、まずしなくてはいけないのが”原因をなるべく早く、的確に見つけること”です。
変えなくてもよいところを変えてしまわないように気をつけましょう。
そして、意外に思うかもしれませんが、「成功」や「完登」にもスランプになる原因が潜んでいます。
その理由として、”たまたま成功する時は、まだ技術がそのレベルに達していないのに、鮮明な記憶として残る”からです。
たまたま起きる成功の記憶は、普段の動きを崩し、これも自分の技術に対する信頼性を下げてしまうのです。
これを防ぐためにには、成功の理由をきちんと把握することが大切です。
悪い習慣と環境の変化
悪い習慣が続いたことによって、スランプに陥ることがあります。
原因として「タバコ」「お酒」「余分なカロリー摂取」「筋トレ」「姿勢」などがあげられます。
これらの原因で起こるスランプやプラトーは、すでに習慣によって現れているので、その習慣を改めなければいけません。
これにはある程度時間がかかると認識しておいた方がよいでしょう。
進学や就職、転勤により生活環境がやトレーニング環境が変わることでスランプに陥ることもあります。
練習量と疲労
練習量が少なすぎた場合のスランプやプラトーは分かりやすく改めやすいですが、練習量が多すぎる場合は厄介です。
練習量が多い場合、疲労がたまるのはもちろんですが「飽きてくる」ことも考えられます。
練習量が多すぎて、身体的につらい場合はしばらく練習を休み、回復させましょう。
飽きてきたなと思ったら、まずは身体を回復させます。そうすると心理的にも回復してくることがあります。
それでも回復しない場合、異種トレーニングなどのポジティブレストが有効です。
無力感
下手なうちは上級者の技術と自分の技術の差を、グレードという数字でしか捉えることができません。
しかし中級者になると、技術や感覚のレベルが上がり、上級者との違いが分かり始めます。
このように、レベルが上がることで、上級者との違いは「パワーがある」「軽く見える」「登っているグレード」などの”目に見えていること以外の違い”に気づきはじめるのです。
この上級者との大きな差を感じると、自分には一生かかってもそこにはいけないという無力感が発生します。
そういう時は考えてみてください。
「上級者にも初級者の時期があり、同じ悩みを抱えていた」と。
学習性無力感
学習性無力感とはスランプの先の最悪の結果のひとつで、”客観的には行動によって結果を変えられる状況になっても、思い込みによりあきらめ、行動しようと思わなくなること”を指します。
要するに「挫折が続くことで、無気力の状態になる」ということです。
学習性無力感は挫折が続くことでも現れますが、普段から「無理」「できない」と繰り返し考えるだけでも現れます。
この「学習性無力感」を脱するには、挫折の原因を探り、スランプを自力で抜け出さなくてはいけません。
クラムジー
キッズ達の停滞現象には、とくに注意が必要です。
キッズ達は急激に身体が成長する第二次性徴期に、身体と感覚のバランスが崩れ、以前に習得した技術を思うように発揮できなくなる時期があります。
それを「クラムジー(英語:Clumsy)」と呼びます。
- 無理な減量をしない
- ウォーミングアップとクールダウンの徹底
- カチ持ちをやりすぎない
- スローパーとピンチに気をつける
- いろいろな運動をさせる
小学生の上達は急激です。
急激に上達しているため、本人たちは
「このままいけばどんな課題でも登れるようになってしまうかも」
「オリンピック行ける!」
というようなことを感じることがあると思います。
しかし上達の停滞期というものは、やる気満々の状態の時にもやってくるのです。
そこで気持ちが折れてしまい、登ることがつまらなくなってしまいます。
登ることがつまらなくなってしまった結果「もういいやっ」と、なってしまいます。
気持ちが折れてしまうまでの流れはこうです。
「成功体験」↓
「熱中」↓
「停滞」↓
「固執」↓
「消耗」↓
「無気力」
という流れでクライミングから遠ざかってしまうことを
バーンアウト(燃え尽き現象)といいます。
これは決して子供だけが陥る現象ではありません。
誰にでも起こりうる現象です。
バーンアウト
- 完璧主義
- 几帳面
- 強迫的
- 執着気質
- 要求水準が高い
- 自己愛的
以上の性格があげられます。
この性格は、客観的にみた場合「真面目」「熱心」「意欲が高い」と評価されます。
しかし実際には、”まじめであるがゆえに燃え尽きやすい”のです。
ようは「頑張りすぎる性格」と言えるでしょう。
周囲の人には「なんでやめちゃったの!?」などと思われることもあるかもしれません。
スランプとプラトー克服方法
スランプやプラトーの原因は多岐にわたり、他人の経験が参考になりません。
スランプやプラトーは、自分で克服方法を探していくしかないのです。
- パターンを見分ける
- 基礎を見直す
- トレーニングを見直す
- メンタルを見直す
- 知識を見直す
スランプやプラトーなど、伸び悩みを抱えている方たちのために、上達の停滞期から脱出する方法はいくつかありますので紹介します。
①うまくいかない原因4つのパターン
まずは自分がスランプやプラトーに陥った原因を確認することが大切です。
前項の「スランプの原因」で自分がスランプになった原因を見つけたら、今度は”なにが足りていなかったのか”、”何が間違っていたのか”を正確に見つけましょう。
- 能力
- 努力
- 難易度
- 運
以上の4パターンの中で、自分が足りない、間違っていると思う原因を把握します。
人は、自尊心を保護するために「成功の原因は”能力”と”努力”のおかげ」と思い、「失敗の原因は”難易度”や”運”のせい」と思いたくなります。
「能力」「努力」は”足りている”のにスランプに陥っていると感じる人は、学習性無力感が生じ始めています。
このまま④の項目を読んでみてください。
「能力」「努力」が足りていないと感じる人は、次の項から順番に読み進めてくださいね。
②基礎の見直し
まず、スランプやプラトーの原因として、基礎フォームの錬度不足があげられます。
ほとんどのスランプは、基礎(低グレード)の練度が高くなければ脱することはできません。
なぜなら、基礎をおざなりにしている場合、応用(次のグレード)の動きに対処できなくなっていくことは確実だからです。
よって、基礎ムーブをはじめとした、苦手ムーブを繰り返し練習しましょう。
これを「ムーブの精密化」と僕は呼びます。
この、ムーブの精密化をしない人は、する人に比べてスランプやプラトーになりやすいのです。
ムーブの精密化はつまらないと感じるかもしれませんが、上達には不可欠な工程です。
基礎の練度を上げると、力の節約と脳の節約が可能になり、パフォーマンス全体に影響します。
③トレーニングを見直す
ムーブの精密化ができていて、「敗退」や「完登」、「練習不足」、「過度な練習」、「環境の変化」によってスランプやプラトーになってしまった方は、トレーニングの方法を見直してみましょう。
敗退や完登のせいでスランプに陥ってしまった方は、それらの理由を把握し、足りないものを補うトレーニングをしてください。
練習量や環境の変化が原因でスランプやプラトーに陥ってしまった方は、練習の内容と習慣を見直し、できることからコツコツはじめてみてください。
④メンタルを見直す
「学習性無力感」「やる気」「敗退」「怪我」のせいでスランプに陥っている方は、メンタルや環境を変えましょう。
「無力感」や「やる気」が出ない原因をたどれば、価値観の問題に直面します。
自分の価値観とズレた目的や方法でトレーニングしていることが、無力感や、やる気の低下につながるのです。
”何のために登っているのか”を、もう一度見直してみてください。
少しクライミングから離れて違うスポーツをしてみたり、思いきって環境を変えることもメンタルを見直すうえでは大切ですよ。
⑤知識を見直す
スランプに陥った方はぜひ本を読んでください。
ほとんどのクライマーは「我流の登り方」であり、考えが凝り固まることが多いのです。
大切なのは新しい知識を手に入れることでなく、本を読むことで考えの変化を起こすことです。
先人の知識はやはり貴重で、本は少し読むだけでもスランプから抜け出す手がかりが見つかります。
同時に、モチベーションが高まったり、これから訪れるであろうスランプやプラトーの予防にもなります。
クライミング解説書からはじめ、栄養学や解剖学、運動生理学など、興味のある分野の本をぜひ読んでみてくださいね。
参考文献
人間の学習性無力感 (Learned Helplessness) に関する研究
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