ボルダリングを始めれば嫌でも目にし、耳にする「グレード」という言葉。
ボルダリングをするまではあまり聞き慣れていない言葉かもしれません。
初心者が8級、7級、と言われてもピンとこないですね。
そんなわけで今回は、「グレードとは何か」「海外との違い」「初心者が目指すべきグレード」を説明していきたいと思います。
グレードとは
クライミングジムに行くと、ルールや注意点の説明とともに”グレード”についても説明されるかと思います。
各ジムには「グレード表」が貼ってあり、カラフルな数字や色が並んでいますよね。
グレードとは、ボルダリングにおいて、自分の上達や成長の指標となるものであり、数字、色ごとに課題の難易度を示しています。
色や難しさはジムによって異なり、グレードを大まかに表しているジムや細分化されているジムなど、表記の仕方はまちまちです。
ただ登って楽しむだけでなく、自分のレベルが分かり、成長や上達を感じることのできるところがグレードシステムの良いところです。
一般的に表記されているのは、「段級グレード」といった、日本独自のグレードシステムとなります。
「段級グレード」を唱えたのがボルダリングの父こと、草野俊達さん。
その後、室井登喜男さんのボルダー集、通称「黒本」によってボルダリングが浸透していきました。
【緩募】
— 山葵-wasabi- (@wasabist) September 25, 2015
『小川山・御岳・三峰 ボルダー図集(改訂版) – 室井登喜男 著』通称“黒本”という本を探しております。
自費出版で絶版の為なかなか手に入れづらい。。
入手方法が分かる方がいらっしゃいましたら教えてください。 pic.twitter.com/TgpEPa8Ncj
ボルダリング黎明期の立役者達です。
下の写真は5年前、僕は一緒にセットさせてもらいました。
左が草野さん、真ん中は筆者、右が室井さん。
5年前です。
ボルダリングジムのグレードは、基本的には本物の岩場のグレードを基準にしています。
8級や7級などの大きい数字のグレードがやさしめ課題となり、2級、1級と数字が小さくなると難易度が上がりますが、
1級より難しくなると、初段、二段、三段と数字が上がり、日本で1番難しいと言われている課題は六段となります。
例えば、クライミング飛鳥のグレードはこのような感じです。
8級が初心者用の課題とし、一級以上はひとまとめ。
それより難しくなり、誰も登れていない課題は黒テープとなり、二段以上。
飛鳥グレード表枠外カラーテープ。
— クライミング飛鳥 (@climbing_aska) December 30, 2018
「黒テープ」
トライ求厶。#クライミング飛鳥#プロジェクト#外岩用#二段クライマーバラせず#ぶちょーのエゴ pic.twitter.com/94TQvaKCfP
上級者はグレード関係なく楽しんでもらいたいという思いから、1級以上のグレードはかなり曖昧になってます。
僕個人の意見になりますが、グレードシステムの注意点として、自分の登っているグレードを周りと比べたり、グレードだけをモチベーションにしてしまうと、いずれ心がポキっと折れてしまいます。
ボルダリングのモチベーションを維持したいなら、グレードにあまり固執しすぎず
「課題を楽しむ」
「できなかった動きができるようになる」
「できなかった課題ができるようになる」
「新しいことにチャレンジする」
などをモチベーションとしたほうが、続けやすいと僕は思います。
グレードの更新をモチベーションとすることは決して悪いことではありませんが、ボルダリングの喜びはそれだけではないことも心に留めておいてください。
海外のグレード
「段級グレード」は日本独自のもの、ということを先程述べたように、海外のグレード表記は日本のものとは違ったものになります。
例えば、アメリカで使われているものはVグレードといわれ、VB、V0、V1と数字が上がるにつれて難しくなり、V17が世界で最も難しい課題として君臨しています。
ヨーロッパなどではフレンチグレードといった、また別の表記もあります。
この比較表が最もポピュラーでしょうか。
海外のグレード感も統一されているわけでなく、ジムや岩場で多少のばらつきがあり、そこは日本とは変わりません。
日本のジムでもVグレード表記されているところがあります。
初心者がまずは目指すべきグレード
初心者が目指すべきグレードは4級、5級です。
4級や5級というグレードは、初めてボルダリングをする人にとってはとても難しく感じるはず。
なぜなら、4級、5級というグレードの課題を登るには、技術が必要になってくるからです。
力がある人は無理やりにでも登れてしまうかもしれませんが。
力まかせに登るため、再現率は低く、余裕をもって登ることはできないはずです。
ボルダリングにおいてのかっこよさとは、洗練された技術と多少の余裕があってのものだと思います。
ぎこちなく見えると感動は生まれません。
4級や5級というグレードはどのジムでも、中級者になるための練習になることが多く、クライミングの動き方を身に着けなければ登れないのです。
何級が登れたから中級者!
というのは、ぼくは間違いだと思っています。
僕が思う中級者とは、基本的なクライミングの動きが身に着き、自分で対処できるようになった時が中級者となります。
よって、最高グレードが5級でもヒール、キョン、デッド、カウンターバランスなどを自分の技術として吸収され、発揮できれば中級者と言えます。
例え3級や2級を登れたとしても、自分の頭で動きが考えられなかったり、力のみで登っていてはまだまだ初級者です。
ある程度の技術が身につくまで登りこめば、4、5級というグレードを登れる力はついているでしょう。
初心者が目指すべきグレードは4、5級とし、技術の習得に専念してください。
技術のないまま、グレードを上げていっても登れる課題は限られます。
緩傾斜や強傾斜、いろいろなタイプのたくさんの課題をゴール、完登したいのならば上手くなりましょう。
上手くなるためには難しい課題もトライし、余裕を持って登れる課題にもトライしてみてください。
「難しい課題やればうまくなるんじゃないの?」
そう思われるかもしれません。
限界ギリギリの課題というのは、自らの動きを客観的に捉えあることが難しい状態。
必死に次の一手を繰り出そうとするとき、精度よりも力を入れることに意識を奪われます。
技術の習得や精度を上げるには、その動きを客観的に捉えるための余裕も必要です。
自分の登っている姿を動画に撮ってみるのもひとつの手ですが、余裕を持って登れる課題を何度も繰り返すことで技術の精度が上がっていきます。
簡単に言うと、
「力をつけたいなら難しい課題」
「スキルを上げるには余裕のある課題」
をたくさん登りましょう!
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