「時間がゆっくり流れている感覚だった」
「すべてが完璧にこなせている感覚だった」
あなたは登り終わったあとに、このような経験をしたことはありますか?
このような感覚、いわゆる「完全な集中」のことをスポーツでは【ゾーン】と呼びます。
心理学では「フロー」と呼ばれたり、日本では昔から「無我の境地」と呼ばれます。
この記事では以下の方々のために「ゾーン」に入る方法を説明しています。
ゾーンに入る方法なんてあるの?
子供がなかなか集中してくれない…
ゾーンに入るとはどういう状態?
ゾーンは一部のアスリートが経験するものと広く信じられています。
しかし、環境を整えることができれば、誰にでも起こりえることなのです。
- 注意力のコントロール
- 適度な難易度
- 適切なフィードバック
- 呼吸
これらをうまく使うと、僕たちクライマーは【ゾーン】に入ることができます。
ゾーンの入り方や条件を学ぶことで、以下の効果が期待できます。
- ここぞという時に集中できる
- 無駄に疲れるだけのトレーニングを卒業できる
- パフォーマンスの最大化
この記事を書いた人
ぶちょー(クライミング飛鳥店長)
15歳からクライミングをはじめ、現在29歳。
趣味は読書やカメラ。
【登ってきた主な課題】
最高RP 四段 5.13d フルチャージ(四段) Midnight Lightning(V8)などなど
この記事の執筆には2冊の書籍を参考にしました。
ゾーンとは何か
ゾーンとは簡単に説明すると「超集中状態」のことを指します。
以下の感覚に該当する場合、超集中状態が起きています。
- 心拍と呼吸がゆっくり規則的
- 時間感覚の歪み
- 全能感を感じる
- 自意識が無くなる
- リラックスしている
- 熱中している
自発的なレジャー体験をしている場合に、最もゾーンに入る感覚が多くなりますが、その中でも「クライミング」は、最たる例ではないでしょうか。
著書の中で室伏氏はこう主張しています。
集中力とは何か。その答えはいくつかありますが、まず触れておきたいのは「本気で全力を出し切ること」です。
ゾーンの入り方
全力を出し切ること続けることで、集中力が身につきます。
クライミングは課題を登るためには全力で挑まないといけません。
そこにはゾーンとは言わないまでも、没頭と深い集中が必要になります。
これは、ゾーンに入るための条件のひとつでもあります。
ゾーンに入るためには他にどのような条件が必要なのか。
次の項目で説明していきます。
ゾーンに入る条件
自分の目標や目的に向かって全力で取り組んでいれば、あるとき、必ずゾーンに入れる瞬間があるのです。
ゾーンの入り方
しかし、このような主張もしています。
努力も経験も成果も足りないときに偶然そういうことが起こることは考えられません。
ゾーンの入り方
- 適切なフィードバックがあること
- 注意力のコントロールができる
- チャレンジと実力のバランスが適切
適切なフィードバック
ゾーンに入る条件の一つ目は「適切なフィードバックがあること」です。
これは、「自分の成果を確認できること」と「進歩が分かること」が重要です。
何度も何度もトライしても変わらない状態ではゾーンに入ることはできません。
どんなに小さなことでも少しずつ進歩を感じることで、集中状態を作ります。
初心者~中級者がゾーンに入ることが難しい理由がここにあります。
なぜなら、初心者~中級者は自分に起こせるフィードバックがそう多くはないからです。
経験不足のせいで、より細かな小さい進歩を感じとることが上級者に比べて難しいのです。
「グレードが上がった!」でしか、自分の進歩が分からないのは致命的です。
それではゾーンに入ることは不可能でしょう。
自分が目標に進んでいる感覚を掴み、集中することでゾーンに入っていくことが可能になります。
注意力のコントロール
ゾーンに入るための条件、二つ目は「注意力のコントロール」です。
これは要するに、「集中できる状態を自分で作ること」です。
後に説明しますが、ゾーンに入れない人の特徴として”ネガティブ”が挙げられます。
なぜなら、ネガティブは心配や不安を助長し、注意力を低下させ、集中を阻害するからです。
ゾーンに入る時というのは、心配、退屈、無気力な自分を忘れている時です。
集中できないと感じたら「自分は何をするべきか」「どのように取り組むべきか」これらをいち早く決定し、行動に移すことが大切です。
適切な難易度
フローは、自分のスキルがちょうど処理できる程度のチャレンジを克服している時に起こる傾向がある。
フロー体験入門
自分の実力に合っていない課題を選んでも、ゾーンに入ることはできません。
たとえそれが難しすぎる場合でも、簡単な場合でもです。
限界以上の課題では、不安や心配のレベルが上昇し集中が切れます。
反対に簡単な課題は、退屈を感じ集中が切れるのです。
大切なことは、精神的に集中できて、楽しさ、満足感を感じ、その課題を登ることが自分にとって重要だと思えることです。
ゾーンに入るために
この項目ではゾーンに入るための工夫を説明します。
この記事の冒頭で「ゾーンは誰でも入ることができる」と説明しましたが、実際には”入りやすい人”と”そうでない人”がいます。
この表でわかることは、「集中が切れにくい人」がゾーンに入りやすく、「集中が切れやすい人」がゾーンに入りにくいということです。
集中に関しては多くの書籍を読みましたが「集中力を上げる」ことは可能です。
ゾーンに入りにくい人に分類されている方は「集中力を上げるトレーニング」と同時に以下のことを意識してください。
- 退屈させない工夫をする
- 自分の行動を自分で選ぶ
- 得意な事と好きな事をする
- 認知の確認
- 呼吸
退屈させない工夫
クライミングがつまらない、楽しくないと感じるのは自分で楽しむ努力をしないせいです。
本当に面白いと感じることの多くは、初めから面白いのではなく、それだけの労力や熱量を注ぐことによって面白くなります。
初心者の方がクライミングが退屈だと感じやすいのは、そのせいでもあります。
クライミングが楽しいと感じれるかどうかは、クライマーの取り組み次第ということです。
退屈を感じているかを確認する指標として、「時間を気にしている時は退屈している時」です。
自分の行動のオーナーシップ
ゾーンに入りやすい人は「自分の行動は自分で決めている」ことが挙げられます。
要するに、誰かに言われて登るより、自分が「登りたい!」と感じた課題の方がゾーンに入りやすいということです。
”自分で”目標を立て、それに向かって”自分で”試行錯誤していくことが大切なのです。
自分の得意な課題や好きな動きが出てきた場合、自分の力でコントロールする頻度が高まるため、ゾーンに入りやすいと言えます。
自主力を高める
常に自分の行動のオーナーシップを持つためには、以下のことを振り返るといいでしょう。
- どうすればうまくいくのか
- 上手くいかなかったときはどうするか
- なんのために登っているのか
呼吸
人間の集中と呼吸には密接な関係があることは、多くの方がご存じかと思います。
人気アニメのおかげで子供たちが呼吸を口にすることが多くなりました。
深呼吸をすることで副交感神経が活性化しストレスが緩和され、落ち着き、集中することができるようになります。
深呼吸をするときは胸を張りましょう。
これは一過性のものではなく、瞑想のように習慣化することで集中しやすい脳に変化していきます。
普段の生活で正しい呼吸を実践していきましょう。
ゾーンに入ると起きること
ゾーンに入ると、ほとんど無意識なのに最高のパフォーマンスを出すことが可能になります。
ゾーンを経験するということは「自分の限界を超えた」ということです。
「次に自分の限界が訪れても、また超えれる」という自信が身につくということであり、「限界を超える楽しさ」を知るということにつながります。
自分の限界をここだと決めて全力で挑戦しな人は、失敗を怖がっているのです。
自分はこんなものなんだ…と認めなくてはいけないことを怖がっているのです。
大切なことは、負けたとしても、できなかったとしても、全力で取り組んだという経験なのです。
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