[ボルダリング]クライミングジムのグレード感[課題が甘い、辛い]

「あの課題は甘い、辛い」

「あのジムは甘い、辛い」

ボルダリングをしている方は、よく聞く言葉ですよね。

その言葉を聞くたび、僕は思います。

「グレードに囚われすぎるのも良くないと思うんだよな〜」

…と。

今回は、”ジムのグレードはとっても曖昧なんだよ”ってことを、記事にします。

ぶちょー

ジムグレードの基準が欲しいですよね…

グレードには明確な基準、ないのです…

この記事を書いた人

ぶちょー(クライミング飛鳥店長)

15歳からクライミングをはじめ、現在28歳。
趣味は読書やカメラ。
【登ってきた主な課題】
最高RP 四段 5.13a フルチャージ(四段) Midnight Lightning(V8)などなど

基準がないなら、自らの経験値を増やし、自分の中に基準を作りましょう。

以下、小山田大さんのブログより抜粋。

まあ、本当はグレードなんてどうでもいい。

「なんかやたら難しくてかっこいい課題だ」「よし登ろう」「うーんなかなか出来ない」「出来たー嬉しいな!」

で、いいな。

それでいいし実際それだけだし。

出典:dai’s diary ホライゾン

クライミングにおける「グレード」には何か嫌な側面がある。

せっかくの素晴らしいクライミングや課題が無機質な数字のせいで台無しにされてしまう事もある。

出典:dai’s diary ホライゾン

まずは「グレードの甘い、辛い」とは、どういうことなのかを説明していきます。

目次

ボルダリングジムのグレード感「甘い課題、辛い課題」

甘い課題というのは「そのグレードの課題の中では簡単と感じる」「表記を1グレード下げてもいい」と感じるような課題のことを言います。

例えるなら”5級に近い4級”と言われたり”簡単な4級”と言われたりする課題を指します。

必死に登った時、あるいは初めてそのグレードの課題を登れた時に「あ〜それね〜。甘めの4級だったよ。」なんて言われた日にはとっても残念な気持ちになります。

僕が課題にできるだけグレーディングをしたくない理由の一端でもあります。

逆に、辛い課題というのは「そのグレードの中では難しいと感じる」「表記を1グレード上げてもいい」と感じるような課題を言います。

これも”3級に近い4級”と言われたり”難しい4級”と言われたりする課題のことです。

このような難しいと言われる課題を登れると、とっても嬉しいですよね。

ジムや岩場によって違うグレード感

課題によってグレードに差が出ることもあれば、ジムや岩場によってグレードに差が出ることもあります。

「自分がよく登りに行っているボルダリングジムのグレード」や「今までに行ったボルダリングジムのグレード」と比べて、簡単なグレーディングがされているジムを”甘いジム”と呼び、難しめなグレーディングがされているジムを”辛いジム”と呼びます。

ボルダリングジムのグレード感の違いは、自分の登れるグレードを上げていくことだけをモチベーションにしている方には死活問題です。

世間(クライマーズコミュニティ)では”辛めのジムをホームジムにし、甘めのジムを遠征先に選ぶと良い”なんてことが謳われておりますが、僕はぶっちゃけ、どちらでも良いと思います。

この記事の最後にも説明しますが、「ジムグレードは曖昧すぎる」ため”甘いジム”、”辛いジム”よりも、自分が楽しく登りながら強くなれるジムが一番です。

グレード感に差が出る理由

グレード感に差が出てしまう理由は明確な基準が統一されていないからです。

「各個人が体感している課題の難しさを、数字で表すことは大変難しいこと」だと言い換えることができます。

課題のグレードがズレる理由

同じグレード表記でも、グレード感に差が出てしまう理由が3つあります。

例えるなら「この4級はあの4級より難しい」となる理由です。

理由
  1. クライマー本人の得意不得意によるグレードのズレ
  2. クライマー本人の体格によるグレードのズレ
  3. 課題自体のグレードがズレている

クライマー本人の得意不得意によるグレードのズレ

デッドポイントが苦手な人は、デッドポイントが多い課題を難しく感じるでしょうし、引きつけが苦手な人は引きつける課題は難しく感じます。

カチが苦手、スローパーが苦手、スラブが苦手、強傾斜が苦手。

不得意なことは難しく感じる一方、得意なことは簡単に感じます。

このように”クライマー本人の実力の偏り”がグレーディングの差を感じる理由の一つとなります。

クライマー本人の体格によるグレードのズレ

リーチによるグレードの差は感じ方が極端になることが多く、課題が全くできなかったり、2グレードも3グレードも差が出ることがあります。

そのようなリーチによってグレードが変わってしまう時、クライマー本人たちにはそのグレーディングでは納得できません。

それもそうです。

同じグレーディングなのにリーチのある人は簡単に取れるところが、小さい人はどんなに頑張っても取れないのですから。

大きい人よりも小さい人の方がリーチによるグレード差を感じやすく、不満も大きくなります。

逆に、狭い課題は大きな人が不利になります。

リーチで難しさは変わるということ。

僕が”グレードは曖昧”と言う理由の一つです。

課題自体のグレードがズレている

課題を登るのも作るのも、人間。

どんなクライマーが登っても、グレード感が「あれ?」と感じる課題もあるでしょう。

セッターにもリーチの差があり、得意不得意の差があり、課題を作っているうちに疲れてもきます。

セッターは限られた時間の中、いくつも課題を作っているのです。

その中で、グレーディングを統一することができて、多くのムーブを混ぜ、リーチも考えることのでき、楽しいと思われる課題を作れるセッターというのは貴重だと思います。

他には季節によってグレードが変わることもあります。

ジムによってグレードがズレる理由

ボルダリングジムによってグレード感が違うと感じる理由は以下の3つです。

理由
  1. セッターの違いによるグレードのズレ
  2. オーナーの違いによるグレードのズレ
  3. クライマーの違いによるグレードのズレ

セッターの違いによるグレードのズレ

セッターによってグレード感が変わってしまうことがあります。

セッター歴や、実力が違えばグレード感が変わるのが当然といえば当然なのですが、ほとんどのセッターはジムによってグレード感を変えていると思います。

”このジムのグレーディングはこのくらい”と見当を付けてからセットしている方もいれば、”私のグレーディングはこう”と我道を行く方もいます。

これにより、ジムによってグレード感に差が出てしまうのです。

オーナーの違いによるグレードのズレ

このズレはかなり厄介で、オーナーの一声で甘くも辛くもできてしまうのです。

セッターに”甘めでお願い”すれば甘いグレード感で出来上がります。

”辛めでお願い”すれば辛いグレード感のセットとなります。

さらに、グレードというのは日本の岩を基準としているのがほとんどですが、「奥多摩の御岳のグレーディング」と「アメリカのBishopのグレーディング」は岩質が違うため、ズレます。

そもそも表記が「Vグレード」「段級グレード」と、違います。

クライマーの違いによるグレードのズレ

ホームジムの課題には慣れが生じます。

課題の傾向や傾斜、ホールドに慣れてくるのです。

まぶし壁か、ラインセットかにより、ついているホールドのタイプも違い、ホームジムによって、鍛えられ方の差が出てきてしまうこともあり、得意不得意の傾向も変わります。

このことから、たまに遠征としていくジムは慣れていないことによりグレードの差を感じてしまうのです。

ホームジム選びは重要で、いろいろな傾斜があり、多くのムーブがでてくる、多種類のホールドがついているジムをオススメします。

ボルダリングジムのグレード感は曖昧である

前述してきた「グレードに差が出る理由」から”ボルダリングジムのグレード感は曖昧なもの”ということがわかっていただけましたか?

得意不得意、リーチ、セッター、オーナー。

いろいろな要素でグレード感は変わります。

”曖昧なもの”なのに上達の指標、比べるものがグレードしかなく、幅が広い。

グレーディングにはモヤモヤを感じる方も多いと思います。

あまり良くないのは、”曖昧なグレード感を盲信”し、グレードだけで他人と比べること。

それをモチベーションとしてしまうこと。

僕は、グレードを上げること”だけ”をモチベーションや、達成感にしない方がいいと思います。

記事のはじめにも言いましたが、「それは甘めだよ」なんて言われたら悲しくなっちゃいます。

「甘めでもいい。頑張ったんだから」と思うようにしても、言われてしまったらモヤモヤは残ります。

”お得な○級”と言われている課題も、せっかくいい課題なのに”お得”と言われるだけで課題のよさを消されてしまっているように感じます。

僕は、グレードとは「他人と比べるもの」「その課題の価値を決めるもの」ではなく

「自分が上達していると感じることができる指標の一つ」

「リスクを減らすためのセーフティ」

だと思っています。

上達の指標

”できないムーブができるようになる”

”止まらない一手が止まるようになる”

”持てなかったホールドが持てるようになる”

これらでも上達を感じることができ、モチベーションが上がります。

そして、岩場のかっこいい課題、美しい課題を登ることを目標にし、その課題達を少しづつ登っていくことでも達成感に繋がります。

その達成感たちのおまけとして「グレード」という数字がついてくるのです。

グレードとは決して他人と比べるためのものではありません。

リスクについて

例えば、5級をトライしている方が、上部が核心の初段を登ってしまったらどうなるでしょうか、

それは、もう落ちるしかありません。

ジムなら安全を確保されていますし、高さも限られています。

しかし、岩場その事態に陥ってしまった場合、命の危険があります。

このように、グレーディングとはリスクマネジメントのツールとして機能することもあります。

岩場にいけばグレードが分かる

自分のグレード感に疑問を持ったら、岩に行きましょう。

岩場の課題は共通です。全国のクライマーが登ります。

グレードは、まず初登者が提唱しますが、全国のクライマーが登ることにより、グレードのすり合わせができ、確立されやすい。

岩場にはジムとは違い、リーチによる問題は少なく、ホールド替えがなく、オーナーによるグレード感の操作もありません。

欠けたなどのイレギュラーはありますが、ほぼ変わることはなくそこにあり続けてくれるのです。

何年も前にトライして、足も手も出なかった課題が登れるようになった時は格別の達成感ですよ。

岩に取り憑かれてしまうのはこのせいでもありますよね。

しかし、岩場にも初登者と再登者の感じ方の違いや、新しいムーブの発見、マットのありなしなどによりグレード感は変わります。

結局、岩場のグレードも曖昧なんですね。

岩場に行くのにハードルがある方は、ムーンボードを登ってみてください。

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