皆さんはクライミングをした後に「今日も1日なにも登れなかった…」「自分はなんて弱いんだ…」と落ち込んでしまうこと…ありませんか?
残念ながらこの考え方では、気づかないうちに自分で自分のモチベーションを下げています。
上記のようなネガティブな思考はモチベーションを知らず知らずの内に低下させ、上達を遅らせ、クライミングが楽しくなくなってしまいます。
僕はこの記事を読んでくれている皆さんには、楽しくクライミングをして欲しいと願っています。
これからも楽しくクライミングしていくには「普段からモチベーションが上がる思考を作る」必要があります。
この記事を読むと
- ネガティブな考えを見直すことができます。
- モチベーションの低下を防ぎます。
- やる気を高める方法が分かります。
- 自己肯定感が上がります。
- 上達が早まります。
例を挙げながら分かりやすく解説していきますね。
では、早速。
セルフイメージが幸福度を変える「ビリーフ」
NLP※の分野では「自分が思う真実を思い込んでいること」を”ビリーフ(Belief=信念)”と呼びます。
「自分が思う真実」とは、僕たちは実際に起きた現象を自分の中で捉え方を決定し、それを真実であると受け入れていることです。
「自分が思う真実」は「客観的な事実」ではないのです。
ちょっと分かりにくいのでこれから説明していきます!
※NLP=神経言語プログラミング なりたい自分になるための実践心理学
捉え方のちがい
この項では、捉え方の違い(自分の思い込み)で上達の速度が違う、AさんとBさんのモチベーションの差を分かりやすく説明します。
例えば…
あの課題終わってないですよね?
あそこはこうして、こうしてこうすると登れると思いますよ。
終わってない…。できてないの見られてた…。
自分はなんて弱いんだ…。
終わってない…。見ていてくれたのか。
私なら登れると思ってくれているんだな。
〜後日〜
あの課題終わりましたか?
ああ…できてないから催促されてしまった…。
なんでできないのかな…。
きちんと見てくれているんだなぁ。
よし!頑張ろう!
Aさんは店員の言葉を「あなたは登れていない」という意味で受け取っているのに対し、Bさんは店員の言葉を「自分のために言ってくれている」と捉えています。
この違いは、Aさんが普段から「自分ならやればできる」という考え方で生活し、Bさんは「自分には能力がない」という考え方で生活しています。
あなたの日常でも、何気ない時にこういった捉え方の違いが現れていることがあります。
「良し」「悪し」は思い込み
岩場に出かけるクライマーの皆様に質問です。
「雨」、どう感じますか?いいことですか?悪いことですか?
登れなくなるから悪いことでしょうか。
しかし、肩を痛めているとしたらどうでしょう。
レストができる良いチャンスではないですか?
このように、良し悪しを決めているのは僕たちの捉え方です。
それをふまえた上で少し読み進めてみてください。
僕たちには少なからず”悩み”が存在します。
例えば「もともと運動神経が悪い…」という悩んでいる人がいるとします。
この悩みのもとは、過去の経験や過去に味わった感情からきていて、それが「運動神経が悪い」→「ランジやコーディネーションができない」となるのです。
この悩みをさらに深堀りすると、「自分の苦手意識」や、「上手くやらなければいけないという思い込み」によって劣等感が生まれ、モチベーションを低下させています。
このように僕たちは過去に起こったことや、起きた感情による思い込みに縛られている多くのことがあります。
過去の出来事が自分を「こういう人間だ」という思い込みを作り、この思い込みのことを自己認識(セルフイメージ)といいます。
この項のはじめに、良し悪しは僕たちの捉え方で決まると説明しました。
捉え方次第で僕たちのセルフイメージは良くも悪くもなるのです。
「課題が登れない」ことを「自分の運動神経が悪いからできないと捉えて諦める」か、「多くのことを学べる課題だと捉えて登ってみるか」でこれからのセルフイメージ、上達の速度も変わってきます。
この項で言いたかったことは「自分はこういう人間だ」というセルフイメージは、”ただ自分がそう思っているだけ”なのです。
僕たちには実際は変えることができるのに、”そう思い込んでいるだけ”で停滞してしまっていることがたくさんあるのではないでしょうか。
思い込みを「苦手、下手、だめ、できない、悪い」→「価値あるもの」に変えることで、モチベーション、幸福度、満足度が増加します。
ビリーフ(思い込み)を変える→「ビリーフチェンジ」
ビリーフ(思い込み)を変えるには、自分の無意識にあるビリーフを意識的に気づかないといけません。
そもそも、ビリーフが作られる時というのは、私達が直接体験したことを「こういうことだ」と認識し、それが「いつもそうなる」と思い込むことにより形成されます。
例えば、「ヒールフックが弱い」と思い込んでいる人は、過去に失敗したり、笑われたり、マイナスな体験を何度かしている方です。
反対に「ヒールフックが得意」と感じている人は、ヒールフックが上手くいったり、褒められたりと、プラスな体験を何度かしています。
このようにビリーフは、何度かその体験を繰り返すことによって形成されるのです。
もし、あなたがなにか苦手や嫌い、悩みがあるとすれば、それは過去に形成したビリーフが問題になっているのかもしれません。
そのビリーフは無意識のうちに刷り込まれることがあるため、その体験を覚えていないこともあります。
問題を解決したり、目標を達成するための障害を乗り越えるには、トリガーとなっているビリーフを見つけて、自分にとって「価値のあるもの」としてビリーフを変換させる必要があります。
自分の思い込み(ビリーフ)を「苦手、下手、だめ、できない、悪い」→「価値あるもの」に変えることを「ビリーフチェンジ」と呼びます。
ビリーフチェンジの具体的な方法は、記事の後半で説明しますね。(リフレーミングについて)
ビリーフチェンジが成功すると、捉え方が変わることで目の前の現実が変わり、周囲の人間関係や状況にまで変化をもたらします。
できなかった課題が、誰かとセッションすることによって突然できるようになったことはありますか?
これは、自分の中の「この課題できない…」という”思い込み”が「できるかも」に変化したことで気分が上がり、力がでたからかもしれませんね。
モチベーションを上げるビリーフと下げるビリーフ
「できると思えばできるんだよ!」「できないと思ったらできないからね!」
この考え方はただの精神論だと思いますか?
理論的な説明の方が大切ですか?
僕はこの精神論も、とても大切だと思っていて、ほんの少しでも「できない」→「できるかも」→「できる!」という気持ちに傾いてもらうようアドバイスしています。
(根性で登れ!は違う。)
NLPではビリーフ(思い込み)の違いが結果を分けると考えられています。
例えば…
「努力が報われている!」と普段から思えている人、「頑張っているのに何もできない…」と普段から考えている人。
「この失敗は成功の元!」と考える人、「失敗したからもういいや」と諦める人。
両者はポジティブな人とネガティブな人の例です。
この両者を”行動できる人”、”行動できなくなる人”に言い換えるとどうでしょう。
なんだか上達スピードに違いが生まれそうですよね。
日頃から考えていることは無意識に潜在意識に刷り込まれ、ポジティブな思考もネガティブな思考も、意識せずとも本当にそうなるように無意識が”勝手に”背中を押してしまうのです。
極端かもしれませんが、行動できる人上達します。それはモチベーションが上がるビリーフを持っているからです。
反対に、行動しない人に上達はありません。なぜならモチベーションが下がるビリーフを持っているからです。
モチベーションが上がるビリーフ
- 努力は報われる
- 私はいつも充実している
- 何でもできる
- 誰かが見てくれる
- いつも幸せだ
- 失敗は成功のもと
- 運が良い
モチベーションが下がるビリーフ
- チャンスが訪れない
- 何をしても上手くいかない
- あれはできなかったからもうやらない
- やったことがないからやらない
- 出る杭は打たれる
- あの人はもともと才能がある
- 自信がない
- できない、無理
モチベーションが上がるような、ポジティブなビリーフを持ち続けるというのは大変なことです。
僕ももともと、ポジティブになりたいと思う側の人間です。
ポジティブな人が羨ましい…。そう考えていました。
しかし、最近はネガティブなことを考えてしまった時に「あ、行動できなくなる考え方だ」と気づくことが多くなり、できるだけ自分を奮い立たせることを意識するようになりました。
このブログの更新もそうです。
「行動しよう」「勉強しよう」と考えた結果です。
僕のようなネガティブ側の人たちは、無意識にしてしまう「行動できなくなる思考」に”気づく”ことが大切なのです。
表現を変えればイメージが変わる!
まずは以下の2つの文章を見てみてください。
「下手だから練習する」
「上手くなるために練習する」
練習する意味は同じですが、これらの言葉はそれぞれどんなイメージを持ちますか?
おそらく前者よりも、後者の方がよいイメージになったのではないでしょうか。
もう2つ例を挙げます。
「できないからやらない」
「できるようになったらやる」
今はやらない、という意味では同じです。
次にこれ。
「人に嫌がられることはしない」
「人に喜ばれることををする」
どちらもやはり後者がよいイメージ、ポジティブなイメージですよね。
これらに共通するのはポジティブな文は否定形を使わずポジティブな単語、ネガティブな文は否定形を使いネガティブな単語を使っている点です。
ネガティブなイメージの文に共通する「〜しない」という否定形の言葉は、僕たちの頭は認識してくれないため、ネガティブな言葉はそのまま自分の潜在意識に刷り込まれてしまいます。
余談ですが、誰かに向かって「あの人嫌い!」というと、脳は主語を認識せずに「嫌い!」という言葉が、自分の潜在意識に刷り込まれます。
「嫌い!」という言葉を相手にも自分にも発していることになるため、どんどん自己肯定感が下がっていきます。
あまり悪口言わないほうがいいですよ?「ネガティブワードは潜在意識に刷り込まれる」ので…
それと、できない課題があった時も同じです。
「無理だ、できない」という言葉を潜在意識に刷り込ませるより、「今登れる課題じゃないな」という言葉や「そのうちできる」という言葉を刷り込ませましょうね。
「登れる課題じゃない」という言葉は「ポジティブ+否定形」です。否定形は脳が認識しないため、「登れる課題」という認識で脳に刷り込まれます。
考え方で世界が変わる「リフレーミング」
フレーミング効果(framing effect)というものをご存知でしょうか。
フレーミング効果とは、「本来は同じ意味だとしても表現の方法や捉え方(フレーム)を変えれば違う印象に変えることのできる効力」のことを指します。
NLPでは出来事の捉え方(フレーム)を、自分にとって有効なものに変えるテクニックを「リフレーミング」と呼びます。
このリフレーミングを活用することで、行き詰まった状態から新たに選択肢を見つけ、やる気を高めることができるのです。
リフレーミングには大きく分けて2種類存在します。
一つは「コンテキストリフレーミング(状況のリフレーミング)」、もう一つは「コンテンツリフレーミング(内容のリフレーミング)」といいます。
コンテキストリフレーミング(状況の捉え方を変える)
コンテキストリフレーミングとは別名、状況のリフレーミングと呼びます。
「この人(物事)は、他のどのような状況で役立つのか」と、状況のフレーム(枠組み)を考え直すことをいいます。
手が小さくて大きめのスローパーが持てない方がいるとします。
しかし極小カチを使う課題や、小さいポケットを持つ課題はどうでしょうか。
これらが核心の課題は、きっと小さい手が有利に働きます。
この方は手が小さくてスローパーが持てないことに悩んでいますが、状況を変えると不利が有利へ変化します。
このように、「状況を変えれば能力を発揮できる」と考えたり、「こういう状況なら役に立つ」と考えるのが”状況のリフレーミング”です。
このリフレーミングを使うことにより、「課題ができない…」と落ち込んだ気持ちを「他の課題なら頑張れるかも!」という気持ちに変化させることでモチベーションの低下を防ぎます。
コンテンツリフレーミング(内容や意味の捉え方を変える)
内容や意味を変化させる「コンテンツリフレーミング」は内容のリフレームとも呼ばれます。
「この出来事は他にどのような意味があるのか」「他にどんなプラスの価値があるのか」、このように内容や意味のフレーム(枠組み)を考え直します。
例えば、ビリーフの項でも話した通り、「雨だと外岩に行けない…」という悲しい出来事も「レストのチャンス」「家族との時間に使える」「家の掃除ができる」など、捉え方を変えるだけで肯定的な意味となります。
「課題ができない…」という悲しい気持ちも、「これはトレーニングだ」「目標が見つかった」へ捉え方を変えることができ、「痩せない…」という悲しい気持ちも「ウエイトトレーニングだ!」などの肯定的な意味を見出すこともできます。
このように、状況を変えることなく内容の捉え方を変えて、肯定的な意味に変化させるのが”内容のリフレーム”となります。
まとめ
- 物事の良し悪しは自分で決めている
- 無意識に刷り込まれた”苦手意識”は過去の経験からきている
- 苦手にチャレンジしないのは、「上手くやらなければいけない」という思い込みがあるから
- 普段の思考習慣で思い込みは作られる
- ポジティブなことを普段から考えることで、行動ができる人になる
- 行動できる人は上達する
- ネガティブになったら「リフレーミング」してみる
参考文献↓
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