僕には才能があるわけではありません。
もとから運動ができてたなんてことも、センスがあるねなんて褒められたこともありませんでした。
しかし、クライミングはそこそこの努力を続けたおかげで何とか三段、四段というグレードに手を出すことができるようになりました。
そこそこの努力で三段かよっ
こう思う方もいらっしゃるかもしれませんが、岩場で1級、初段を限界としている人たちよりは多くの努力をしてきた自信がありますよ。
しかし、それでも僕からすれば自分はそこそこの努力しかしていないです。
五段レベルの課題を登っている人たちは、僕なんかよりもっと努力しているに違いありませんから。
僕は足りない才を補うために、いろいろと考えて岩を登ってきました。
それを紹介することで、「岩場で成果を出せる人が少しでも増えてくれたらいいな」「登りたいと思っている課題が登れるようになってくれればいいな」と思っています。
- すべてを賭ける
- 準備をする
- 決めきる
この記事を書いた人
ぶちょー(クライミング飛鳥店長)
15歳からクライミングをはじめ、現在29歳。
趣味は読書やカメラ。
【登ってきた主な課題】
最高RP 四段 5.13d フルチャージ(四段) Midnight Lightning(V8)などなど
さっそくですが紹介していきます。
すべてを賭ける
目標の課題を登るのために、あなたが持っているものを何もベットしない。
それでは登れませんよ。
高難度の課題を登るためには、「時間」「体力」「気持ち」をその課題に注ぎましょう。
情熱を持って課題と向き合いたいですね。
時間
岩場に行くまでの時間もそうですが、トレーニングにあてる時間や休息にあてる時間、その課題について考える時間を多くすればするだけ目標は近づいてきます。
登りたい課題のためにどれだけ時間を使うことができていますか?
体力
自分の身を削り、岩場へ行く。
ボロボロになるまでトレーニングを行う。
苦しいダイエットに励む。
このきつい労力の積み重ねが成果につながります。
登りたい課題のためにどれだけ体力を使っていますか?
気持ち
自分の気持ちがその課題にどれだけ向いていますか?
その課題を登るために何ヶ月も何年も情熱を注げていますか?
どれだけその課題、岩に憧れていますか?
気持ちが大事です。
準備をする
岩場で成果をあげるには、準備が必要です。
準備を怠ると、フィジカル的にもメンタル的にも打ちのめされてしまいます。
経験を積む
例えば、「長い道のり」(初段)という課題があるとします。
その課題は「道」(3級)「細道」(1級)という課題をつなげる課題です。
「細道」ができたから「長い道のり」に挑戦しよう!
というのは、いささか準備が足りないのではないでしょうか。
僕が言いたいことはメンタルを整えるために、”簡単な「道」もやっておいた方がよいのではないか”ということです。
「道」という課題を登れることで課題を登れる実感を掴み、気持ちに余裕が生まれます。
さらに「道」を省エネで登ることで「細道」がより登りやすくなり、「長い道のり」が登れる準備が整うのです。
それだけではありません。
1級を1本しか登れていない人が初段をトライするのは、これも準備が足りていないと言えます。
トライは自由ですし、1級1本のみで初段を登れた人はたくさんいます。
しかし、それは本当の意味で初段を登れる人になっているのでしょうか。
僕はメンタル的に、四段が1、2本しか登れていないのに、五段をトライして登れると思うことができません。
トライはしますが心のどこかで引っ掛かります。
なので、まずは自力をつける。
僕は五段を登るために四段を何本も登り、四段クライマーとしての本物の土台を作ってからトライするのです。
よしっ準備できた!とか、そろそろトライしてもいいだろう!と思えたらその課題に集中します。
ここまで僕の勝手な意見です。
1級クライマーが二段を登っちゃいけないとか、そういうことではないです。
僕だって最高グレード以上の課題をトライします。
ただ、そのグレードに対する準備ができていればできているだけ、長い時間苦しいクライミングをせずに済むのではないか。
ということです。
準備ができていたと思っていた課題が登れなかった時の悔しさは言葉にできません…
トレーニング
僕は夏はひたすらトレーニングだと思っています。
岩にはほとんど行きません。
岩場を主軸にしているクライマーは皆そんな感じではないでしょうか。
冬場の岩の状態が良くなる期間に向けてトレーニングを行います。
懸垂やスクワットなどの”登らないトレーニング”にも力を入れます。
冬場になる前に何度か岩に通い悪い状態でトライすることで、シーズンインした時にあれ?保持れてる!となって気持ちが前を向くことがあります。
それで登れた課題は多く、僕はシーズンに入る前の岩場にできるだけ赴くようにしています。
減量
もともと痩せ気味の人にはあまりオススメしないです。
昔に僕は、無理なダイエットで筋肉が減り、弱くなったことがあるので減量は数か月単位で考えます。
腹筋が少しも見えない方は数か月前から減量していきましょう。
岩の難しさ
ホールドが不明瞭
岩場の課題は掴むホールドもフットホールドも決められていませんし、見つけるのが難しいです。
これは経験によって左右されます。
岩の結晶、くぼみや角度の緩い一点を見つけるのは難しいですよね。
岩場に数回しか行ったことない人は、まずホールドを探す目を養ったほうがいいですよ。
恐怖心
恐怖心のコントロールは難しいですよね。
なにせ、いくら考えても体が勝手に反応してしまうのですから。
恐怖は未知な事や分からないことが原因です。
こちらも「何度も落ちる」という経験が必要です。
決めきる
高難度の課題を登る時、大切なのは「決めきる」こと。
できれば数日以内に終わらせたいと僕は思っています。
何日もその課題に費やしていると心が折れますし、何よりも時間の無駄です。
僕が登りたいと思っている課題は全国、いや世界にたくさんあります。
ひとつの課題を打ち込んで固定されたムーブが強くなるメリットより、いろいろな課題をもっとたくさん登るメリットの方が大きいと思います。
その課題が生涯の目標やグレードの更新が目的で、絶対にこのシーズンに登らなくてはいけないものなら打ち込みます。
まあこれも僕がまだ20代だから言えることかもしれませんね。
30代40代になった時、焦ってクライミングしたくないなぁと思います。
道具の選定
シューズやチョークは適当になっていませんか?
僕の場合
花崗岩はミウラー、フューリアS
チャートはミウラー、フューリアS、アグロ
石灰岩はフューリアS、アグロ
温かい時期は、東京粉末ブラック+東京粉末HIGH GARAGE
寒い時期は、東京粉末ブラック+フリクションラボシークレットスタッフ
こんな感じで大体決まってます。
課題によってシューズは履き分けます。
シビアなヒールはミウラーに頼るし、難しいトゥフックはアグロに頼ります。
細かいフットホールドはミウラーで、スメアが必要な時はフューリアSです。
シビアなフットホールドが無くて、本気時は大体アグロ履いています。
フューリアSはヒールカップをミウラー風に改造し、ステルスHFソールにしてあります。
あと、ミウラーは12年使っています。
トライ数の制限とレスト
高強度のボルダー課題の場合、一日に数十トライはできません。
特に長い課題は、一日数トライしかできないなんてことも。
- 十分なウォーミングアップを行う
- 本気トライの時間帯を決める
- レストの間隔を調整する
- レストの仕方を考える
意外とその課題からいったん離れて、別の課題を打ち、また戻ってくると調子が良くなることもあります。
一番失敗するのは、ウォーミングアップが完了していないのに何度も打ち込んでしまうことです。
気温と湿度
岩場の状態が良くなる気温と湿度を把握しておくことも大切です。
ギリギリの課題は、少しでも良い状態の時にトライすることが重要だと感じます。
僕は度の岩場でも15℃以下が一番パフォーマンスが発揮できます。
湿度もカラッカラのほうが好きです。
人によっては寒すぎると力が出ない人もいます。
ルーティン
僕は前日の夕飯をいつもより少し減らし、当日の朝はできるだけ食べるようにしています。
その他にも朝はEAAを飲むとか、シューズは左足から履くっていうのもありますね。
ルーティンを決めておくと、トライする時に集中できます。
寒さ対策
冬場はダウンジャケット、手袋、ネックウォーマー、ホッカイロはいつも持っていきます。
シューズが冷たいと足の感覚がなくなるので、シューズにホッカイロをつめ、お腹に入れてトライ寸前まで温めておきます。
体もすぐに冷えてしまうので、僕は課題の前でジャンプして温めます。
リスクの把握
恐怖心は力を制限してしまいます。
落ちる場所の把握と落ち方の把握は気持ちの余裕を作り、出力の制限を解除します。
これは、経験を積むことでしか恐怖心の克服はできません。
僕も怖いときは怖いです。
僕はハイボルダーに魅力を感じますが、自分の実力以上のハイボルダーはやりません。
メンタル
高難度の課題をトライする時は、「この課題は登れる」という実感や自信が必要です。
それは今までの努力や経験の積み上げによって獲得できます。
自信を持てることで気持ちに余裕が生まれ、無駄な力が減り課題が登りやすくなります。
6級は簡単だからやらない?
4級は成果にならないからトライしなくてもいい?
そんな考えでは経験値がたまっていきません。
経験が足りない人ほど、実力以下の課題で量を積み重ねるべきだと思います。
最後に
ここまで自分勝手に僕の意見をたくさん紹介してきました。
この記事に書いてあることは、僕の経験からの勝手な意見です。
それをあなたが選び、咀嚼して使っていただけたらと思います。
この記事に書いてあることを誰か1人でも「なんかためになるかも。」と思っていただければ僕は嬉しいです。
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