「食事で強くなるシリーズその1」でタンパク質、脂質、糖質をまとめて三大栄養素と呼ぶということを説明しました。
これに、ビタミン、ミネラルを含めると五大栄養素と呼びます。
この五大栄養素は車に例えられることがあります。
以下の図が分かりやすい…かな?
タンパク質…ボディ
脂質、糖質…ガソリン
ビタミンミネラル…オイル、潤滑油
今回説明するのは”ビタミン”について。
”ビタミン”は体のエネルギーにはならないものの、タンパク質、脂質、糖質の分解と合成を助ける働きをします。
ビタミンとは
僕たちの体内では消化や細胞の入れ替えなどの反応、いわゆる「代謝」が、休まることなく起き続けています。
代謝の時には酵素が働かなくてはいけないのですが、その酵素の働きを助けるものを「補酵素」といい、補酵素のほとんどはビタミンなのです。
簡単に言えば、「ビタミンは代謝をスムーズにしてくれる栄養素」です。
ここで、ビタミンの種類を紹介します。
ビタミンB群やビタミンCは水溶性のビタミンで、大量に摂取しても余ったものは尿と一緒に出ます。
ビタミンA、D、E、Kは脂溶性ビタミンといい、体内にある程度留まります。
水溶性ビタミン | 脂溶性ビタミン |
---|---|
ビタミンB群、ビタミンC | ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK |
過剰摂取の問題なし | ビタミンE以外は過剰摂取の注意が必要 |
過剰摂取と言っても、サプリ等で「ラベルに記載されている量の数十倍を長期間摂取し続けた場合」なので、心配はあまりいらないと思います。
ビタミンAの効果
ビタミンAの働きは夜盲症などの目の障害を防ぎ、免疫機能を上げ、成長ホルモンの生成時に必要とされています。
厚生労働省はビタミンA の1日の摂取安全値を2700μgの設定し、最低健康発現量を13500μgにしています。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(μg) |
---|---|
鶏肉(レバー) | 14000 |
豚肉(レバー) | 13000 |
牛肉(レバー) | 1100 |
にんじん | 720 |
パセリ | 620 |
ビタミンB群の効果
ビタミンB群には、B1(チアミン)、B2(リボフラビン)、B3(ナイアシン)、B5(パントテン酸)、B6(ピリドキシン)、B12(コバラミン)、葉酸、ビオチンがあります。
下記でB群の説明しますが、各ビタミンBを個別で摂取するのは難しいため、足りない分をサプリメントで摂取するのがベストです。
ビタミンB1(チアミン)
前回の投稿でエネルギー供給の説明をしました。
クエン酸回路にてピルビン酸からアセチルCoAを作る反応時に必要とするのが”ビタミンB1”。
よって「ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える時に必要」となります。
ビタミンB1は小腸で吸収されますが、単体で摂取するよりも食事と一緒に摂取したほうが吸収率が高いそうです。
ビタミンB1が足りなくなると、糖質を使ったエネルギー回路が機能しなくなる、脚気が起こりやすくなる、食欲がなくなる、むくみ等の症状が出ます。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(mg) |
---|---|
豚ヒレ肉 | 0.98 |
豚もも肉 | 0.90 |
焼きたらこ | 0.71 |
大根ぬか漬け | 0.33 |
ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB2は脂肪酸からアセチルCoAに変換される時に使われ、さらに電子伝達系の回路でも使われます。
よって「ビタミンB2は脂肪をエネルギーにする時と、電子伝達系のエネルギー供給に必要」となります。
ビタミンB2は足りなくなると、皮膚や粘膜に炎症が起こりやすくなります。子供は成長障害が起こる可能性もあります。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(mg) |
---|---|
豚レバー | 3.60 |
牛レバー | 3.00 |
鶏レバー | 1.80 |
納豆 | 0.56 |
ビタミンB3(ナイアシン)
ビタミンB3(ナイアシン)は多くの酵素の補酵素として働いています。
体内で合成可能ということが発見されてからはビタミンから外されています。
ナイアシンは代謝を助け、皮膚や粘膜の炎症を防ぎ、神経症状を防ぎます。
さらに、体内に入ったアルコールは、アルコール脱水素酵素とアルデヒド脱水素酵素によって分解されますが、それらの材料が「ナイアシン」になります。
要するに「ナイアシンを摂取することで、アルコールが分解されやすく、二日酔いになりにくい」ということです。
アミノ酸のトリプトファンからも体内でナイアシンに変換されるため、アルコールを飲んだ際はトリプトファンの摂取でもアルコールの分解が促進されます。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(mg) |
---|---|
たらこ | 49.5 |
インスタント珈琲粉 | 47.0 |
かつお節 | 45.0 |
マグロ | 20.7 |
ビタミンB5(パントテン酸)
パントテン酸は食物に広く含まれ、腸内細菌によっても合成されます。
補酵素CoAの構成成分となる他、副腎皮質ホルモンを分泌増進し、テストステロンの低下を防ぎ、ニキビなど肌の改善効果もあります。
パントテン酸もナイアシンと同じく、体内で合成可能ということが発見されてからはビタミンから外されています。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(mg) |
---|---|
鶏レバー | 10.10 |
干ししいたけ | 7.93 |
牛レバー | 6.40 |
ビタミンB6(ピリドキシン)
ビタミンB6はタンパク質の代謝や脂質の代謝、免疫力の向上、皮膚や粘膜の維持、睡眠を深くするなどの働きを担っています。
ビタミンB6と共にB12や葉酸を摂っていないと、動脈硬化を引き起こす原因となります。
水溶性のため過剰摂取の心配はほぼ必要ないですが、1日数千mgを数カ月摂取すると神経障害を引き起こす可能性があるそうです。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(mg) |
---|---|
唐辛子 | 3.81 |
にんにく | 1.50 |
マグロ | 0.94 |
ビタミンB12(コバラミン)
ビタミンB12は葉酸と共に赤血球を合成する働きを担っています。
高齢者や胃の調子が悪い人は、ビタミンB12が不足しがちです。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(mg) |
---|---|
しじみ | 62.4 |
赤貝 | 59.2 |
味付けのり | 58.1 |
牛肉(レバー) | 52.8 |
葉酸
葉酸はアミノ酸やビタミンの代謝し、ビタミンB12と共に摂ることで動脈硬化のリスクが減少します。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(μg) |
---|---|
ドライイースト | 3800 |
焼きのり | 1900 |
煎茶の茶葉 | 1300 |
鶏レバー | 1300 |
ビオチン
ビオチンは普通の食事で十分得ることができますが、効果を得るためには1日2mgほど摂取しなければいけません。
ビオチンには糖質、脂質、タンパク質の代謝、筋肉痛の軽減、体脂肪燃焼、インスリンの働きを高める、アレルギーを防ぐ働きがあります。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(μg) |
---|---|
鶏レバー | 232 |
落花生 | 96 |
牛レバー | 75 |
大豆 | 60 |
卵 | 25 |
ビタミンCの効果
ビタミンCの効果は多岐にわたるため、一部を紹介いたします。
- コラーゲンを生成し、肌や爪をきれいにする
- アレルギー症状を緩和
- 免疫力向上
- ストレスによる副腎疲労緩和
- テストステロン増加
- 動脈硬化予防
このようにビタミンC には様々な効果があります。
ビタミンCは1日に2g〜5gほど摂取すると効果が現れるそうです。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(mg) |
---|---|
赤ピーマン | 170 |
黄ピーマン | 150 |
ブロッコリー | 120 |
ビタミンDの効果
ビタミンDは普通の食事からでも摂ることができますが、日光に当たることでも体内で合成が起こるようです。
ビタミンDが不足すると、満腹中枢を刺激するレプチンの働きが阻害されます。
このことから「梅雨や引きこもり時は日光に当たらず、運動不足と相まって太りやすくなる」とも言えます。
また、ビタミンDにはカルシウムの吸収を高める効果やテストステロンを高める効果、コルチゾールを減らす効果などもあります。
許容上限量は100μgです。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(μg) |
---|---|
きくらげ | 440 |
あんこうのきも | 110 |
しらす干し | 61 |
ビタミンEの効果
ビタミンEの主な効果は、酸素をうまく利用できるようになり運動機能を向上させること。
血液をサラサラにすることで心臓病予防や動脈硬化を予防します。
他にはテストステロンの増加効果もあります。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(mg) |
---|---|
アーモンド | 29.4 |
あんこうのきも | 13.8 |
スジコ | 10.6 |
いくら | 9.1 |
ビタミンKの効果
ビタミンKは出血時に血を固める働きや、骨にカルシウムを付着させて強くする働きなどがあります。
ビタミンKはビタミンDと同時に摂ることで骨密度が上昇するようです。
ビタミンKの1日摂取規定量は200〜300μg程度です。
多く含まれている食べ物(100g) | 含有量(μg) |
---|---|
抹茶(粉) | 2900 |
ひきわり納豆 | 930 |
パセリ | 850 |
しそ | 690 |
まとめ
- ビタミンは代謝をスムーズにしてくれる
- ビタミンB、Cは水溶性ビタミンである
- それ以外のビタミン脂溶性ビタミン
- ビタミンAは目の障害を防ぎ免疫を高め成長ホルモン生成を助ける
- ビタミンB1 は糖質をエネルギーに変える時に必要
- ビタミンB2は脂質をエネルギーに変える時に必要
- ナイアシンは皮膚の炎症を防ぎ、アルコールを分解しやすくする
- パントテン酸はテストステロンの低下を防ぎ、ニキビを予防する
- ビタミンB6は代謝や免疫を高め、睡眠を深くする
- ビタミンB12は葉酸と共に赤血球を作る
- 葉酸はアミノ酸やビタミンの代謝をになう
- ビオチンは代謝を高め、筋肉痛の軽減、体脂肪燃焼、インスリン感受性を高める
- ビタミンC は肌爪をきれいにし、免疫力やテストステロンを増やすなどの働きがある
- ビタミンD は日光に当たることでも作られ、カルシウムの吸収、テストステロンを増加させる
- ビタミンEは血液をサラサラにしたり、テストステロンを増加させる
- ビタミンK は出血時に血を固め、ビタミンD と同時に摂ることで骨密度が上がる
参考文献↓
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